中学受験の成否を分ける「自走できる子」の家庭 親の管理で合格しても子は自己肯定感を持てない
では中学受験に挑む親の姿勢として、両親の役割分担はどう考えるべきなのだろうか。
「両親のどちらかは飄々としていた方が意外にうまくいくと思います。大抵はお母さんが必死になることが多いですが、どちらかが子どもの癒し役になってくれた方がいいでしょう。
個人的には、父と娘、母と息子の異性の組み合わせは、親が冷静な傾向にあると思います。一方で同性の場合は、親が子を同一化してしまい『子どもがダメなら自分がダメ』と思ってしまうことが多い。娘の模試の結果をスマホで見るのに手が震えているお母さんがいたり、重症化しやすいと思います。親は子どもと程よく距離をとって、中学受験に関してはあくまでも『軍師』であるべきです。そうでなければ冷静な戦略が立てられません」
「全落ち」に親はどう対応する?
しかし、万が一「全落ち」という結果が出てしまったら冷静ではいられないだろう。受験の結果をどう受け止めるべきなのだろうか。
「前提として、今の首都圏の中学受験では複数の私立中学を受けることが可能なので『全落ち』はあり得ないと思います。関西では1校しか受けられなかったりするので全落ちもありますが、首都圏では安全校として持ち偏差値より5くらい低めの学校を受けておいたり、自分の得意なタイプの入試の学校を受けるよう受験戦略を普通に立てればどこかには入れます。全落ちは、精神的に余程落ち込んだか当日病気になったか、または見栄で『絶対開成』と言って、名門校に執着し偏差値の高い学校ばかり受けさせたか。僕が確認できる限り全てそういうケースです」
一方で、「まともな戦略を組んでも何があるかはもちろんわからない」と長谷川さんは言う。
「適正校でも落ちることはあります。その場合でも本人の内面的成長があればいいんです。大切なのは、中学受験について親子で冷静に振り返られる話し合いを持つこと。そこで、親も反省をしてほしい。子どもに対して『5年生の時にサボってたからや!』と言いたくなるかもしれません。でも子どもを責めるのではなく、親にも悪かったところがあると受け止めてほしいです。
不合格は辛いですが、僕は親子関係さえ崩れていなければ大丈夫だと思います。親子関係がボロボロで『お母さんにあんなに勉強をやらされたのに』と子どもの心が傷ついてしまっていると次の受験でも同じことを繰り返してしまいます。そうなっていなければ、一生懸命に頑張った事実と基礎学力が身に付いているので、進学先で有利な戦いができるはずです」
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