中学受験の成否を分ける「自走できる子」の家庭 親の管理で合格しても子は自己肯定感を持てない

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中学受験を目指していると、親子の衝突が起きやすくなる。長谷川さんは著書で、子どもが勉強をしたくないと言ったら、『勉強しないとどうなると思う?』と穏やかに問いかけることを推奨しているが、実際にそれができる親は多くはないだろう。

「中学受験の競争が激しくなっているので、偏差値の低さを数字で見せられると親は必死になるし、心が乱れるのはわかります。

しかし、そこで大らかさを失ってしまう親御さんは、自分に自信がないパターンが多いと思います。親御さんに学歴コンプレックスがあったりすると、ガチガチに管理して勉強させようとします。押し付けられると当然、子どもは勉強が嫌いになります。ひどいお母さんだと子どもの目の前で成績表をビリビリに破ったりします。

そんなことをしたら子どもが親を信頼するどころの話ではなく、単なる恐怖の対象になってしまう。孔子の『礼』と『仁』という道徳で習うレベルのことが、なぜ自分の子どもには適用されないのか疑問を感じます。そういったケースでは子どもが自己主張が苦手になったり引っ込み思案になってしまうことが多いです」

思いやりは読解力につながる

親が冷静に子どもを導くためには何が大切なのだろうか。

勉強とは別のところで、たとえば『うちの子は優しければ大丈夫』『思いやりがあればいい』などと何か1つよいところを見てあげてください。思いやりに関しては、国語の読解力に繋がる重要な力です。国語の問題を解くためには、出題者や作者の意図など他人の気持ちをおもんばかることが重要だからです。特にこれからの大学の共通テストは、作者の意図を読み取れなければ点を取るのは不可能。結局は、優しい気持ちを持った子の方が成績が伸びやすいと思います。

子どもの思いやりの気持ちを育むためには、親が普段から礼節を重んじて、周りの人に対する感謝の気持ちを態度で示すことが大切だと思います。『誰かのお陰で生かされている』という気持ちを持っていれば、子どもの偏差値が低いくらいでキレたりしないのではないでしょうか」

現代の中学受験では、書籍や受験情報サイトでいくらでも情報を取得することができる。そのような状況に対して、長谷川さんは「あなたのお子さんに合うかどうかは、ネット情報をいくら眺めてもどこにも書いていない」と、親が情報に踊らされず自分で思考する決心を持つことを重視する。

「昨年は400件ほどの家庭のコンサルをしたのですが、皆さん似たようなキーワードで検索しているので同じ情報に行き着いています。しかし絶対に考えないといけないのは、うちの子は、うちの家庭はどうなのか個別案件として考えることです。その思考ができている親御さんはコンサルタントの使い方も上手です。子どもをしっかりと観察して、『少しモチベーションが下がってきたな』と思ったタイミングで相談してくださいます」

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