中学受験の成否を分ける「自走できる子」の家庭 親の管理で合格しても子は自己肯定感を持てない

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子どもが勉強嫌いになってしまう原因として「早期教育のやり過ぎ」を長谷川さんは指摘する。

「過剰な早期教育が功を奏して小学校受験、中学受験がうまくいくことも多いです。しかしそのせいですっかり勉強嫌いになってしまったり、大学受験や社会人になる時に失速してしまうパターンが本当に多いのです。過剰な早期教育より、自分の人生を自分でなんとかしようとする力を育てることが大切だと思います」

そのためには、入塾までに「ハードルを乗り越える経験をさせてほしい」と長谷川さんは言う。

「野球でヒットを打てるようになるまで頑張るなど、何か1つ小さなハードルを越える体験をさせてあげてほしい。その過程で、子どもが努力する姿を褒めてあげると子どもの自信に繋がります。通塾のために習い事を辞めるとしても、目標を乗り越えるところまではやらせてあげてほしいと思います」

入塾までに身につけるべき習慣

長谷川さんが中学受験の合否を分けるポイントとして挙げているのが、著書のタイトルにもある「自走モード」になれるかどうかだ。「自走モード」とは、受験や勉強を「自分ごと」として意識して、行動できるモードのことだという。

「例えば、僕の教え子でケアレスミスが多い子がいるのですが、12月に行われた入試に落ちてしまったんです。先日、その子から直接電話がかかってきて『先生に言われた通り問題文に線を引いたんだけど、4個もケアレスミスをして落ちてしまいました。計算ミスが減らないのですがどうしたらいいですか』と聞いてきました。

自分で真剣に考え始めた様子がうかがえて『自走モードになったな』と思いました。その子は、以前はお母さんの言う通りに何となく勉強していただけでした。でも『自分の受験』になったことで、きっと志望校に受かるだろうし、仮に落ちたとしても入った学校でしっかり勉強できるだろうと思いました。

中学受験の時点で偏差値が低かったとしても、『自走モード』になることができればその後うまくいくケースが多いんです。長い目で見れば主体的な状態を作った方がいいと思います」

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