岸田首相の大勝負、コロナ「5類移行」の危険な賭け 時宜を得た方針転換?政府対策本部も廃止へ
そうした経過の中、岸田首相は就任時から「尾身会長をコロナ対策の前面に出すべきではない」(側近)と判断。それまでの慣例だった政府のコロナ対策決定・変更時の首相会見での尾身氏の説明を除外した。
もちろん、岸田首相は表向き「つねに専門家の意見を聞いて判断している」と繰り返している。ただ実際は、尾身氏に対してひそかに「余計な発言は控えてほしい」と牽制するなど、政権としての“尾身外し”を徹底。後藤茂之コロナ担当相は20日、「『5類』引き下げに伴い政府の対策本部は廃止になる」と明言した。
国民の不安を和らげ、政権浮揚につなげる狙い
そもそも、岸田政権にとって、年明けの時点での最大の難問がコロナ禍への対応だった。だからこそ、昨秋からコロナ対策の早期転換を模索してきた岸田首相は、年明け早々に「政府主導で将来展望を示す」ことで国民の不安を和らげ、政権浮揚につなげようとしたのだ。
ただ、今後も感染状況の高止まりが続き、年度末前後に大規模な第9波の到来ともなれば、今回の決断が「重大な政治責任として首相を追い詰める」(自民長老)ことは間違いない。
このため岸田首相サイドも「当面は、祈るような思いで感染状況や死者数を見守るしかない」(側近)と肩をすくめるばかりだ。
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