岸田首相の大勝負、コロナ「5類移行」の危険な賭け 時宜を得た方針転換?政府対策本部も廃止へ
岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを、現在の「2類相当」から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へ引き下げる決断をしたことが、政・官・財各界だけでなく、国民の間にも複雑な波紋を広げている。
日本でのコロナパンデミックから3年という節目の決断。岸田首相は「ウィズコロナ」による経済再生で、国民生活の底上げを狙う。政官界でも決断支持が多数派で、財界ももろ手を挙げて歓迎するなど、「まさに時宜を得た方針転換」(官邸筋)にもみえる。
23日に召集された通常国会での与野党論戦や、4月の統一地方選・衆院統一補欠選挙を乗り切り、5月のG7広島サミット(主要国首脳会議)の成功により政権危機を脱出。余勢を駆って衆院解散も狙うとされる岸田首相にとって「国民が最も敏感なコロナ対策での大勝負」(側近)でもある。
5月の大型連休前後に5類移行を実施する構え
しかし、4年目を迎えたコロナ禍は、昨年暮れからの第8波で、年明けには死者数が1日の発表分として過去最多を記録したばかり。多くの感染症専門家は「第8波は第7波より厳しい状況で、感染防止策を緩めるのは危険」(政府対策本部幹部)と首をかしげる。
その一方で、現状の感染者数は漸減傾向にあり、「第8波は収束しつつある」(厚労省幹部)との判断が岸田首相の背中を押したのは間違いない。ただ、年度替わりの3月末前後には第9波の襲来も想定され、今後も予断を許さない状況が続く。
政府は5月の大型連休前後に5類移行を実施する構えで、岸田首相は23日の施政方針演説で「平時への移行を進める」と宣言し、マスク着用ルールの見直しも表明した。最新の世論調査でもコロナ対策見直しには国民の半数以上の支持があるが、マスク着用の緩和は依然、国民の不安が根強い。
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