岸田首相の大勝負、コロナ「5類移行」の危険な賭け 時宜を得た方針転換?政府対策本部も廃止へ

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昨年からのオミクロン株への置き換わりに伴い、コロナでの重症化率や致死率は低下傾向が目立つ。

これを踏まえ、政府は昨秋から水面下で感染対策の見直しを検討。昨年末には、岸田首相に決断表明のタイミングについて複数のシナリオを作ったが、「岸田首相はその中で最も早い案を選んだ」(側近)とされる。

この決断については、専門家の間でも一定の評価が相次いだ。

テレビ出演などでコロナ対策を解説してきた二木芳人・昭和大医学部客員教授は「(5類への引き下げの)議論は、1年以上前から続いてきた。ようやく政府も今回の第8波に合わせて、いわゆる経済のほうに軸足を移した」と指摘。そのうえで「第8波はおそらく春に向けていったん、小康状態になる。2類から5類に変えていくと、いろいろな調整や準備が必要だから、このタイミングで議論を始めることは当然の方向づけだ」と評価した。

「段階的に進めるべき」とくぎを刺した尾身会長

また、政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は大手紙のインタビュー(1月13日実施)の中で「5類」引き下げについて「議論するべき時期に来た」と語る一方、「急激に対策を解除すると負のインパクトが大きい。段階的に進めるべきだ」とくぎを刺した。

尾身氏は安倍、菅、岸田3政権で専門家代表として政府の対応を主導する立場だったが、3人の首相について、専門家の意見を聞かずに政策を決めるケースがあったと指摘。具体的には、安倍政権下での2020年2月末の「学校の一斉休校」、菅政権下で同年7月の「Go To トラベル」、岸田政権下では2022年7月、濃厚接触者の待機期間を最短3日に短縮したことを挙げた。

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