なぜ今?菅前首相、沈黙破り「岸田批判」始めた内幕 政権危機で加速する自民党実力者の主導権争い
菅義偉前首相がこの年末年始、講演やメディア出演などで岸田文雄首相を表立って批判したことが、永田町に波紋を広げている。菅氏は二階俊博元幹事長と共に「自民党内の反岸田勢力の旗頭」(自民長老)という立場だけに、今後、菅氏の動きが党内各実力者の主導権争いを加速させることが間違いないからだ。
2021年秋の「無念の退陣」以来、長らく沈黙を守ってきた菅氏だが、今回の一連の言動について、自民党内では「岸田政権の危機は深刻で、早期退陣もありうると判断して動き出した」(側近)との見方が広がる。
「ポスト岸田」の人物の品定めをした週刊誌などの新年企画では、いずれも菅氏は上位にランクイン。このため、永田町では、「岸田首相が早期退陣に追い込まれれば、残る総裁任期をつなげるのは麻生太郎副総裁か菅前総理」(自民長老)と読む向きも少なくない。
再登板よりもキングメーカー狙いという見方も
ただ、菅氏サイドは「自らの再登板はまったく考えていない」(側近)と強く否定。「“ポスト岸田政局”を仕切ることで、キングメーカーを狙うのが本音」(同)と解説する。
いずれにしても、岸田政権の危機はなお深刻なだけに、菅氏の動向が今年の政局展開を占うカギとなるのは間違いなさそうだ。
菅氏の言動が国民的にも注目されたのは、政界の事実上の仕事始めとなった1月10日に合わせたように、同日発売の月刊誌『文藝春秋』2月号に菅氏のインタビュー記事が掲載されたのがきっかけだ。
同誌の「目覚めよ!日本 101の提言」という新年用大型企画の中で、菅氏のインタビューは「派閥政治と決別せよ」との刺激的タイトルで、同企画のトップ記事となった。
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