なぜ今?菅前首相、沈黙破り「岸田批判」始めた内幕 政権危機で加速する自民党実力者の主導権争い
その菅氏は『文藝春秋』のインタビュー記事掲載に合わせるように、1月8日からベトナムを訪問し、要人らと会談した。ベトナムは菅氏が2020年9月の首相就任後初の外遊先。今回の訪問はそれに感謝しているベトナムの招請によるもので、首相経験者としての本格外交は退陣後初めてとなる。
一連の外交日程をこなした菅氏は1月10日、訪問先のハノイで記者団の取材に応じた。
その中で菅氏は、文春インタビューを踏まえての質疑応答で「政治家は国民の負託を受けている。自らの理念や政策よりも、派閥の意向を優先するようなことはすべきでない。首相は国民全体の先頭に立って汗を流す立場にある。歴代(首相)の多くは所属派閥を出て務めていた」と改めて岸田批判を展開した。
少子化対策での消費税増税にもクギ刺す
さらに、岸田首相が年頭に「異次元の少子化対策」を打ち出し、その財源として消費税増税が浮上していることに対し、「少子化対策はきわめて重要だと思うが、消費税を増税してやるということは(私は)まったく考えていない」と厳しい表情でクギを刺した。
こうした菅氏の言動に対し、自民党の世耕弘成参院幹事長は1月11日の記者会見で「岸田首相が派閥色を露骨に出して仕事をされたことはまったくなかった」と党執行部の一員として擁護。ただ、「派閥トップは離脱するのが安倍首相までの慣例だったわけだから、首相ご自身がよく判断されればよいのではないか」とも付け加えた。
また、次期通常国会で岸田首相批判の急先鋒になるとみられる立憲民主・安住淳国対委員長は「いろんな意味で自民党内に不満がたまっている証拠かなと思う」と、間接的な表現ながら、自民党内の権力闘争のきっかけになると指摘した。
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