マクドナルドの浮沈握る"出戻り幹部"の手腕 藤田時代からの生え抜きがCOOに返り咲き

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「下平氏は周りの人間から慕われるタイプ。現場の立て直しという観点から、最適の人物を抜擢したのではないか」(前出のOB)

FCへ出向していた経験も大きい。原田氏の戦略によって、マクドナルド全店(2014年12月末時点で3093店)に占めるFCの比率は7割まで上昇。その浮沈が日本マクドナルド全体に及ぼす影響は大きくなっている。出向経験がある下平氏に、本部とFCの橋渡し役を担ってほしい、との期待も社内にはある。

米本社との折り合いに不安

ラーソン氏の会長就任で、米本社からの圧力が強まる可能性もある(撮影:尾形文繁)

もっとも、別のマクドナルドOBは、資質面で不安を口にする。「下平氏はリーダーシップを発揮するタイプでなく、決断力で劣る」。

下平氏の不安材料はほかにもある。それが3つ目の大きな人事、ロバート・D・ラーソン氏の会長就任だ。

同氏は16歳で米マクドナルド本社に入社。欧州や中東、アジアの店舗で現場を指揮するなど42年の経験を持つ。今回の総会でも「各国で勤務した知識を活用し、日本でも成功したい」と述べている。マクドナルドの世界基準を熟知する彼が日本の経営陣に加わることで、世界各国の成功事例を取り入れた原田時代のグローバル路線が、より一段と鮮明になる可能性もある。

だが、その路線は、藤田時代に日本マクドナルドが独自に育んできた、社員同士の家族的なつながりを重視する理念とは相いれない。そして、この藤田イズムの継承者こそ、下平氏にほかならない。異なる成功体験を持つ両者の間で今後、経営路線をめぐる対立が起こる可能性もある。

野村証券の繁村京一郎シニアアナリストは「米本社が統制を強めても、日本市場の回復につながる保証はない。経営陣の入れ替えだけでは、消費者にメッセージは聞こえてこない」と指摘する。

偶然か必然か、原田氏の退任と時を同じくして返り咲いた下平氏。その手腕は日本マクドナルドにいかなる変化をもたらすか。

「週刊東洋経済」2015年4月4日号<3月30日発売>「核心リポート02」を転載)

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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