マクドナルドの浮沈握る"出戻り幹部"の手腕 藤田時代からの生え抜きがCOOに返り咲き
下平氏は1978年に日本マクドナルドに入社。創業者である藤田田氏の時代から、実に37年の勤務経験を有する大ベテランだ。現場にも精通しており、コーポレートリレーション本部長や営業推進本部長を歴任してきた。
突然言い渡されたFC出向
そんな彼に転機が訪れたのは2009年。当時は全社を挙げてFC化を進めている最中だった。新潟を中心に120店を抱えるクォリティフーズ社は、マクドナルドのFCでも最大規模で、原田氏主導のFC路線の行方に大きな影響力を持っていた。原田氏は本部から同社に優秀な人材を送り込むことを決めたのだが、その人選を命じられたのが下平氏だった。
後日、下平氏は、出向の候補者リストを原田氏に提出。これに目を通した原田氏は下平氏にこう言い渡した。「このリストは違う。一番いい人材、それはあなただ」──。
こうして下平氏は本社のルートから外れ、FCへ出向することになった。その真意について、2011年に実施した本誌インタビューで原田氏は「彼には極めて重要なポジションとして行ってもらった。今まで以上にやりがいがあるはずだ。意見対立があったわけではない」と説明している。
ただ、下平氏を知るマクドナルドOBは、「原田時代は人員削減や降格人事が頻繁に行われ、本部と現場の意思が乖離していた。現場出身の下平氏と原田氏の方針が合っていたとは思えない」と語る。
では、一度は本社を後にした下平氏がなぜ今、本社の副社長に抜擢されたのか。
マクドナルドでは、昨年の期限切れ鶏肉使用問題の発覚以降、一段と客離れが進んでいた。年明けには異物混入問題も明るみに出て、現場の士気が下がるばかり。こうした状況を打破すべく、国内の全店舗を統括するフィールドオペレーション本部長として、下平氏が呼び戻されたのだ。
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