ブラックサンダー「30→35」値上げが理解集めた訳 硬軟織り交ぜたPRが好意的な反応につながった
感情を揺さぶる「エモさ」が企業PRには必要だ
筆者は先日、当サイト(東洋経済オンライン)で、山崎製パンの人気商品「薄皮」シリーズ各商品が、内容量を5個から4個に減少されることについて、コラムを寄稿した(その後、パッケージ全体の内容量は減りながらも、1個あたりの重量は増えたと判明。SNS上では一転して「神対応」といった反応も出ている)。
この記事では、赤城乳業の「ガリガリ君」や、やおきんの「うまい棒」など、今回のブラックサンダー同様に、長年にわたって低価格を維持してきた人気商品の「値上げ」について論考しつつ、日頃のコミュニケーションを通して、感情を揺さぶる「エモさ」を消費者に想起させられるかが重要だと指摘した。
かつての企業PRでは、記者発表などによる一方的な情報提供に、主軸が置かれていた。しかしインターネットの登場によって、双方向コミュニケーションが求められるようになる。いまや調査会社を使わなくても、SNSでエゴサーチ(自分のことを検索)すれば、すぐに「自社や商品が、どう見られているか」も把握できる時代だ。
インパクトの強い「飛び道具」だけ、もしくはマジメ一辺倒。どちらも企業のスタイルとしてはアリだが、両者をバランスよく兼ね備えられると、より幅広い層とコミュニケーションを築ける。ターゲットに応じて、ペルソナ(仮面=表面的な人格)を使い分けられると、それだけ強みは増していく。表情に違いがあるほど、よりギャップに魅了される。人間関係と同じだ。
ある種のストーリー性を帯びさせることができるか……といった観点から言えば、有楽製菓とブラックサンダーは、かなりの成功例だと言えるだろう。
知名度を広げたのは、スポーツ選手の好物だった「偶然」がキッカケだが、みずから自虐イメージをつくり、ソーシャルグッドの時流にも乗っている。イジられる余地を残しながらも、社会課題にも真剣に取り組む。その結果、多少の価格変動では揺るがない、確固たるブランドイメージを築けていると言えるだろう。
だからこそ、今回の値上げ発表に「労いの声」すら寄せられているのだ。
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