ブラックサンダー「30→35」値上げが理解集めた訳 硬軟織り交ぜたPRが好意的な反応につながった
大ヒット商品になる転機を迎えたのは、2008年。ファンサイトでは、各所への配慮からか「とある国際スポーツ大会に出場した選手」と書かれているが、北京夏季オリンピックで、男子体操・銀メダルの内村航平選手の好物だと報じられたことから、人気が爆発した。2008年の年間販売個数が4500万個だったのが、翌年には1億個を突破したという。4年後のロンドン五輪でも、内村選手の金メダル獲得によって、またも注目をあびた。
その後も、ブラックサンダーの勢いは止まらない。2013年にバレンタインデーの「一目で義理とわかるチョコ」をキャッチフレーズとしたPR戦略を始め、翌年に「国内初の義理チョコ専門店」を掲げたポップアップショップを東京駅に出店してからは、「自虐路線」でも知られるようになった。内村選手のような外的要因ではなく、みずから話題をつくっていく、攻めの姿勢に転じたのだ。
2018年2月、高級チョコレートブランドを展開するゴディバ ジャパンが「日本は、義理チョコをやめよう」と呼びかける広告を、日本経済新聞に出稿した。添えられた文章では、「そもそもバレンタインは、純粋に気持ちを伝える日。社内の人間関係を調整する日ではない」と説き、無理をしないバレンタインデーの過ごし方を提案して、話題となった。
それにすかさず反応したのが、ブラックサンダーの公式ツイッターだ。
ツイートには当時、ファンからの「なんか可愛い。ほっこりした」「義理チョコを選ぶ楽しさだってある」といった声援が寄せられた。
「義理チョコ文化を煽りすぎた」と反省したことも
しかし2021年からは一転、「義理チョコ文化を煽りすぎてしまったことを反省」したとして、より自由なバレンタインデーの楽しみ方を提案する「それもありでしょ?バレンタイン」を展開している。
有楽製菓は「バレンタインだからあげなきゃ」「もらったからお返ししなきゃ」といった、義務感と閉鎖感が漂っていると指摘。コロナ禍による外出自粛や在宅勤務の長期化で、そのムードは薄れつつあるものの、「感謝や愛情を伝える方法は、『チョコを渡す』だけではなく、もっと好き勝手に楽しんでいい」と認識を改めたとしている。
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