台湾で「日本産小麦のパン人気」裏に潜む大問題 「日本産というと売れる」という声の一方で・・・

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原料の一部には、前出の台湾産雑穀メーカーの「十八麦」から仕入れた小麦粉を使用している。

「原価は、ほかの小麦粉に比べたら4倍もするのです。ですから、かなり厳しいのが現状です。それでも、今の国際情勢を考え、持続可能な麺づくりのためには、やはり台湾産の小麦を応援したいと考えて、十八麦の小麦粉を使っています」

台湾も日本同様、戦後の食料難でアメリカから安価な小麦粉を輸入するようになった。さらに粉物料理へのニーズとも相まって拡大の一途を辿り、日本同様、食が欧米化していく道筋が強化されてきた。

自国産小麦を使うメリット

だが、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻というダブルパンチで、国際貿易に頼りすぎる食のあり方への見直しが始まっている。

筆者は胡署長が言っていた言葉を思い出した。 「台湾産小麦を使うメリットはどこにあるのか。第1に、とにかく新鮮であること。第2は、組み換え遺伝子作物ではないこと。第3に栄養価の高い健康的な小麦であることです」

台湾のカロリーベースでの食料自給率は、2021年に31.3%と史上最低を記録した。台湾政府は40%を目標に掲げているものの、この開きは少なくない。今後、台湾がどのような手を打つのか、大いに注目していきたい。

田中 美帆 台湾ルポライター

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たなか みほ / Miho Tanaka

1973年愛媛県生まれ。大学卒業後、出版社で編集者として勤務。2013年に退職して台湾に語学留学へ。1年で帰国する予定が、翌年うっかり台湾人と国際結婚。上阪徹のブックライター塾3期修了。2017年からYahoo!ニュース個人オーサー。雑誌『& Premium』でコラム「台湾ブックナビ」を連載。2021年台湾師範大学台湾史研究所(修士課程)修了。

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