懲罰にも個人的な報酬にも頼らないで人を動かせる?
2013年、ヴァージン・アトランティック航空は、野心的な目標を達成するため、優秀な同僚のエコノミスト、グリアー・ゴスネルとロバート・メトカーフと契約を結んだ。
同社は燃費の向上による炭素排出量の大幅な削減を目指していた。実現できれば、環境に良いのはもちろん、経費を大幅に削減できる。唯一の問題は、どのように手をつけるか、だった。
燃費向上のカギを握るのは機長だと認識していた。パイロットのちょっとした選択で、消費量が変わってくるからだ。
たとえば離陸前、機長は機体の重量や天候を勘案して、機体に積み込む燃料の計画を立てなければならない。飛行中は高度を選択し、最短ルートを要求し、管制官からの指示に従う。両翼のセッティングなどの航空力学に関わる決定によって使用燃料の量が変わってくる。着陸後は、少なくとも1基のエンジンを切っても支障なく駐機できるが、切ることが必須になっているわけではない。



















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