人間の生産性は平均的ではない
高校生だった1980年代半ば、2年間夏のあいだ、贈答用食品会社ウィスコンシン・チーズマンという会社で働いた。チーズだけをつくる会社だ。仕事はフォークリフトの運転で、地下の倉庫から、組み立てラインまでチーズの塊を運ぶ。チーズはここでギフト用に箱詰めされ、世界中に発送される。
1年目の夏に、面白い現象が起きているのに気づいた。シーズン当初、組み立てラインはフロアの半分ほどを占める。驚いたことに、各ラインは1時間ごとにいくつもの塊を捌いていく。
夏の4分の1近くが過ぎた頃、多くの作業員が雇われ、フロアの残り半分のラインが埋まる。フォークリフト・ドライバーのわたしの作業量は増えるが、ラインが2倍になったのに、運ぶチーズの量が2倍になることはなかった。
これが工場長を苛立たせた。ある日の夕方、工場長に呼び出されたときのことをはっきり覚えている。
「ミスター・リスト。記録によると、君は新しいラインに元の半分しか運んでいない」
「イエス、サー。そのようです」
「これは受け入れられない。新しいラインにもっとチーズを運んでもらう必要がある」
肩をすくめて、ラインの責任者に目をやると、ぼそぼそと言い訳した。
「フォークリフト・ドライバーが運ぶ量は適切です。ラインの作業効率がそこまで高くありません」
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