日本のハザード対応は、あまりにも旧式だ 今すぐ英国・米国の取り組みに学べ!

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また英国政府は、地域社会のレジリエンスを高めるための取り組みにも力を入れています。その一環として「地域社会のレジリエンスに関する戦略的国家枠組み」を策定し、非常時に地域での自助・共助ができるよう支援しています。具体的には「非常時に備える~コミュニティへのガイド」という小冊子を用意するなどして、地域のレジリエンス向上をはかるプロセスを提示しています。ワードファイルをダウンロードし、地域の人々が話し合いながら書き込んでいくことで自分たちの非常時計画ができあがる、というコミュニティ非常時計画のテンプレートなどの支援ツールも充実しています。

「タイムライン」で対応――米国

米国には、組織横断的な緊急対応組織として、連邦緊急事態管理庁(FEMA)と国土安全保障省(DHS)が設立されています。注目すべきは、こういった組織面の統合や強化だけでなく、危機管理システムの開発や改善も進めていることです。

9・11やハリケーン・サンディの際、「日本であのようなことが起こったとき、あれほど効果的に、政府や自治体が連携して対応できるだろうか?」と思うほど、連邦政府、州政府、ニューヨーク市の効果的な連携を高く評価する声が多く聞かれました。この連携を大きく支えたのが、インシデント・コマンド・システムという危機管理システムでした。

非常事態には、複数の組織がかかわることになります。インシデント・コマンド・システムは、災害・事件の種類を問わず、あらゆる組織が、あらゆる緊急事態対応で使用するための標準化されたマネジメントシステムなのです。

「指揮(Command)」「実行(Operation)」「計画情報(Planning)」「後方支援(Logistics)」「財務・総務(Finance/Administration)」という5つの主な機能に組織を構成するという組織体制から、命令系統、計画書の様式や通信方法といった管理手法、使われる用語やルールまで、すべてが標準化されていることが特徴です。この標準化によって、連邦政府、州政府、地方政府などあらゆるレベルの行政機関のほか、NGOや民間部門も共通して使うことができるのです。

また、米国の災害対応プログラムの中で、「タイムライン」と呼ばれるアプローチの有効性が広く認められています。これは、災害が発生したときに、政府や自治体、関係諸機関などが、いつ、どのように動くかが一目でわかる「行動計画表」を作成しておくというものです。

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