ここから明らかなように、大きな予算を獲らなくてもリ・インベンションには挑戦できる。また、相対的に時間もかからず、国内市場で伸びたケースが居並んでおり、まさに成熟の時代を生きる道と言えよう。
ただし、強力なリーダーと非凡な発想が必要にして不可欠なので、大企業が挑戦する場合は別働隊を社外に出すなどの工夫を凝らすよう推奨しておきたい。
「売り物」のリ・インベンションで成功したケース
「売り物」のリ・インベンションで成功したケースとして本書で取り上げたのは、以下となる。
ツツミ(ジュエリー、17.9%)
ファーストリテイリング(カジュアル衣料品、16.5%)
アドヴァン(輸入石材、23.9%)
因幡電機産業(配管化粧カバー、19.3%)
日東工器(タガネなど、15.4%)
ホギメディカル(手術室用着衣&用品キット、24.6%)
アリアケジャパン(畜肉エキス、22.4%)
藤倉ゴム工業(ゴルフクラブ用カーボンシャフト、12.5%)
サニックス(白蟻防除薬剤・吸湿剤、21.1%)
ファンケル(無添加化粧品、16.7%)
成熟市場で「売り先」を大胆に変えるには、事業活動の出口を従来とは大きく異なる方角に求めるのがよい。
その具体的な手口として、本書では次の2つのパターンが浮上している。
(2)川下の新たな集積地に新規の顧客を求める
いずれの場合も競合他社の多くは日本に籠城して、川下の顧客と一緒に先細りする道を歩むため、リ・ディレクションに踏み切った企業には好機が巡ってくるのである。
リ・ディレクションは特に大企業に親和性の高い事業戦略である。6ケースでは売上高が1000億円を超えている。
一方で、本書の分析では、強いリーダーの存在を示唆しており、拙著『経営は十年にして成らず』で描いた強い操業経営者の独壇場となっている。
「売り先」のリ・ディレクション(大変更)で成功したケースとして本書で取り上げたのは、以下となる。
シマノ(自転車部品、16.8%)
クボタ(農業機械、13.7%)
HOYA(眼鏡レンズ、17.6%)
スミダコーポレーション(巻線コイル、13.1%)
JSR(フォトレジスト、20.4%)
住友ベークライト(エポキシコンパウンド、19.4%)
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