本書の分析では、成功ケース151のうち、成熟市場を攻めて成功したのは31社、失敗ケース101のうち、成熟市場を攻めて失敗したのは66社となっている。
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遅発の成功ケースは相対的に少なく、遅発の失敗ケースは山ほどある事実を冷静に見据えていただきたい。成熟事業に社運を懸けるのは、あまりに分が悪い。
成熟市場でも使える戦略の定跡とは
それでも「負け犬」を高収益事業に生まれ変わらせるよう社命を受けた経営幹部候補生には同情を禁じえないが、道がないわけではない。
本書の第1部では、著しく限定されてはいるが、成熟市場でも浮上した戦略オプションを示していく。
なお、ここでいう「成熟」とは、価格を理由に顧客が他社品に乗り換える市場を指す。立ち上がって10年以上が経過して、市場の成長率は経済成長率未満に収まるのが普通である。
成熟市場で高収益事業を創りたければ、定跡がある。
避けるべきは、製品の性能やコストや品質の改善に望みを託し、他社の顧客を奪いにいくアプローチである。キャッシュアウトが多すぎて、これでは高収益など視野に入ってこない。
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