ポテチやチョコ「加工食品」やめられない怖い理由 ジャンクフード依存になる科学的メカニズム
7年前、栄養学者たちの研究チームがアメリカ人の食事について調査を行ったところ、驚くべき結論にたどり着いた。一般的なアメリカ人が摂取するカロリーの半分以上が「超加工食品」由来のもので占められていることが判明したのだ。この超加工食品とは、糖類、塩分、油分、脂肪分、その他の添加物を大量に配合した「工業的製法」で作られたものと定義されている。
加工度の高い食品は、肥満や心臓病、2型糖尿病といった健康問題との関連が指摘されているにもかかわらず、いまだにアメリカ人の食卓の中心を占め続けている。こうした加工食品は、安くて手軽なうえ、美味しく感じられるような工夫が施されており、食品業界のマーケティングも強力だ。
しかし科学者の間では、加工食品は単に食欲をそそるだけでなく、依存性があるからこそ、ここまで大量に消費されていると指摘する者が増えつつあり、専門的な論争が盛り上がっている。
ブーストされた快感成分
アメリカ臨床栄養学会誌は2021年、食物依存症のメカニズムや超加工食品が過食や肥満の一因となっている可能性を掘り下げる特集を掲載。その中で、ミシガン大学心理学部の准教授アシュリー・ギアハートと、ドイツのデュースブルク=エッセン大学で児童思春期精神医学・心療内科・心理療法学科長を務めるヨハネス・ヘーベブランドという、同分野の最前線で活躍する2人の専門家が議論を繰り広げた。
臨床心理学者のギアハートは、食品に対する依存的行動の症状を判定する調査「イェール食品依存性尺度(YFAS)」の作成に携わった人物。ギアハートらの研究チームが500人以上を対象に行った研究では、特定の食品について、激しい衝動や自制心の低下をもたらし、節制できなくなるという「依存症的」な摂食行動を引き起こす傾向がとりわけ強いことが明らかになった。そうした行動は、体に害が出て食べるのをやめたいと強く望んだとしても起こる。
ピザ、チョコレート、ポテトチップス、クッキー、アイスクリーム、フライドポテト、チーズバーガーなどが、そうした食品の代表格だ。ギアハートは研究により、こうした高度加工食品は依存性物質と共通点が多いことを突き止めた。