ポテチやチョコ「加工食品」やめられない怖い理由 ジャンクフード依存になる科学的メカニズム
タバコやコカインと同様に高度加工食品も、天然の植物や食物から食物繊維や水分、タンパク質など、吸収を抑える働きをする成分を取り除いたものが原材料となっている。そして、その中でも最も快感をもたらす成分を精製し、血流にすばやく吸収される製品として加工することで、報酬・感情・意欲をつかさどる脳領域を活性化する作用が強められている。
高度加工食品に含まれる塩分、増粘剤、人工香料といった添加物は、舌触りや食感を向上させることで、その食品の誘因力を高めている。ギアハートによると、これは依存効果を高めるためにさまざまな添加物を配合しているタバコと同じ手口だ。たとえば、メンソールはニコチンの苦味を和らげる効果があり、一部のタバコに配合されているココアは、気道を拡張してニコチンの吸収を高める効果がある。
自然には存在しない組み合わせ
超加工食品のうち最も依存性が高いものには、脂質と精製された炭水化物が大量に含まれているという共通点がある。この強力なタッグは、人間が進化の過程で口にしてきた果物・野菜・肉・ナッツ・蜂蜜・豆・種子といった自然由来の食物にはほとんど見られないものだ、とギアハートは説明する。自然界に存在する食物の多くは、脂質もしくは炭水化物のいずれかを豊富に含んではいても、通常、その両方を多く含むことはない。
「人間は、イチゴのように健康に良い自然の食物には、依存的な行動反応を示さない」とギアハートは言う。
「依存的な行動反応は、依存性物質とよく似た手法で作られた高度加工食品だからこそ起こりうる。こうした食品は、アルコールやタバコと同様に、自制心を低下させ、強迫行動や問題行動の引き金となる恐れがある」
ギアハートはある研究で、高度加工食品の摂取を減らした被験者に、苛立ち、疲労、悲しみ、衝動など、薬物乱用者に見られる禁断症状と似たような症状が現れることを発見した。
また別の研究者は脳画像を解析し、ジャンクフードを頻繁に摂取している人は、時間とともに耐性を獲得するため、同じレベルの快感を得るのにさらに多くのジャンクフードを必要とするようになることを突き止めた。
ギアハートは臨床の場で、高度加工食品の摂取を控えようともがいてもやめられない患者たちを目にしてきた。こうした患者たちは、肥満の人ばかりではない。中には、適量を守ろうと試みるも自制心を失い、食べすぎで気分が悪くなり自己嫌悪に陥る人もいる。