早期教育に走る親の子どもの成績が伸びない訳 学校以外の知識が多い子はよく育っている

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ただし、ここで注意していただきたいのは、必要な知識・学習は決して学校や塾でだけ入れればいいものではないということです。

この時期、しっかり睡眠と食事をとり、自律神経がよく働いて、いつも体調がいい子どもの脳には、新しい知識や情報が刺激として無限に取り入れられます。学校の学習以外の知識や情報を、刺激として惜しみなく子どもに投入することが、小・中学生時代の子どもをよく育てるコツです。

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「学校で習う以外の知識・情報」がたくさんある子であれば、「いいぞ、うちの子はよく育っている!」と自信を持ってください

たとえば宇宙人でも鉄道でも、土の中の虫でもサッカー選手の名前でも、なんだっていいのです。本当に興味を持って自発的に知識を得ようとする姿が見られるなら脳育ては大成功です。親としては可能な限り、そこに寄り添って応援してあげられるとステキだと思います。

その点からすると、子どもが小さいときから親が好きなことに巻き込んでいくことが効果的かもしれません。ちなみに私の場合は、子どもが小さいときから自分の好きな演劇に一緒に連れていっていました。いつの間にか子どもはミュージカル大好き少女、特に『レ・ミゼラブル』にはまって博士級の知識を持つようになりました。

以前かかわったお子さんは、お父さんと一緒に釣りに行くうちに、自分で水槽を10個以上保有して多種類の魚を飼育するようになり、ついには水産系の大学に進学しました。いずれの子も小中高の成績はというとトップクラスではなく、むしろ落ちこぼれでした。とはいえ、脳は確実に育っていたのです。 

成田 奈緒子 小児科医・医学博士、公認心理師

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なりた なおこ / Naoko Narita

子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。 1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。http://www.kk-axis.org/

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