早期教育に走る親の子どもの成績が伸びない訳 学校以外の知識が多い子はよく育っている

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親の早期教育に熱が入りすぎると、子どもの心身に不調が生じることも(写真:yoshan/PIXTA)
高学歴な親は自分の成功体験もあり、子どもの教育に熱心な人が多いです。しかし、それが行き過ぎると、「あぶない子育て」になってしまうことがあります。本稿では小児脳科学者である成田奈緒子氏の著書『高学歴親という病』より、早期教育の問題点について解説します。

小学校・中学校時代は、学習やスポーツなどさまざまな活動を学校や課外活動で行う時期です。この時期も、子どもの「睡眠」を甘く見てはいけません。生きるための土台である「からだの脳育て」をし続けなければ、さまざまなリスクにさらされます

睡眠不足だと、寝ている間につくられる成長ホルモンが分泌されないので、骨などからだの成長が阻害されます。サッカーや水泳教室などに放課後通わせて寝る時間が遅くなれば、低身長や骨折の危険性が高まります。さらに、小児期に十分睡眠をとらなかった子どもは思春期以降に肥満やうつ病、早発月経のリスクが高まるという報告が全世界から出ています

特に、睡眠の後半部分には、日々新しく入ってきた情報を整理整頓し、固着させる大事な働きがあります。十分な睡眠時間をとらないと学習機能にも悪影響を及ぼすということです。

ところが、高学歴の親は早期教育に走りやすい傾向があります。その理由のひとつとして、「(早期教育を)やればやるほど頭がよくなる」と考えている節があります。学業を頑張ってきた親御さんたちは、ご自分の成功体験から努力すれば花が咲くと考えます。他の子が塾で勉強している最中にわが子が寝ている。それを想像しただけで不安になるのです。

さらに、他の子どもと比較してしまいます。他の子どもが習い事や課外学習をしているのに、自分の子がしなかったら「親である自分が」疎外感を覚えます。高学歴親は特に不安になりやすいため、なおさらそう思うのです。

その意味で、正しい睡眠で高度な脳をつくることは、子育てにおける最重要課題と言えるでしょう。そこがおろそかになると、どれほど学習刺激を入れても伸びない、それどころか成績が落ちるばかりになることもあります。そこを改め、まずは生きるための脳、つまりは寝て・起きて・ごはんを食べてからだを動かす「からだの脳」を育て直すべく生活リズムを整えたら、良い結果がもたらされるのです。

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