日本再生の資金は米国債売却で捻出できる--英メディアが見た大震災下の日本
--経済の不況は政治のせいもあると思うか?
これは長く続いてきた問題だ。つまり、日本の政治の指導部には、断固とした決断が欠落している。これは野党・自民党も与党・民主党も同じだ。例えば高齢化対策をどうするかでも、政治家がもっと早い段階で決断力を発揮していれば、状況は変わっていただろう。
これまでの日本の政治には決断力が欠けていたので、菅首相がどのように危機を対処するのかに非常に注目している。今のところ、機敏に行動を起こしているように見える。
--原発を運営する東京電力が、情報公開面で透明性にかけるという批判が、一部で出た。どう評価するか。
過去に、大きな事故が発生したとき、企業側は説明責任を十分に果たさなかった。現時点で、東電に関して評価を下すのは尚早かもしれないが、懸念はある。
透明性の不十分さは、日本で資本主義が発達した歴史に関連している。戦後、日本企業は輸出を中心とした成長に力を傾けた。売上げを増やすことが第一で、環境への影響などは二の次だった。こうした企業文化の中では、安全性に対する懸念も後回しにされたのだと思う。
それでも、1990年のバブル破綻までは、日本企業には説明責任の方針が維持されていたと思う。メインバンク制度が機能していて、経営陣に対して良い意味の圧力がかかった。バブルの後、それまであった企業統治の体制が壊れ、今や、説明責任に対する意識は後退しているのではないか。
--震災後の日本経済の将来をどう見るか。
日本経済にはいくつか前向きの要素があることを思い出していただきたい。社会的な面だが、今回の震災で人々はすぐに協力し合った。連帯の精神があった。大震災にもかかわらず、日本国民は沈着冷静だった。これは、日本では「社会契約」の意識が非常に強いことを意味する。
日本以外のアジアの国で同様の規模の震災が起きていたら、人々は慌てふためき、窃盗行為や迷惑行為が頻発するだろう。しかし、日本ではこれが起きなかった。つまり、社会の中心となる、強い価値観が日本に住む人の間で共有されていることだろう。