日本再生の資金は米国債売却で捻出できる--英メディアが見た大震災下の日本
--貿易収支は?
日本には大きな貿易黒字がある。これは減少するだろう。製造業は生産が大きく破壊されてしまったので、内部留保を減少させざるを得なくなる。
--膨れ上がった赤字国債はどうなるか?
生産の破壊による損害は世界の保険会社、再保険会社が払うことになるが、日本の場合、企業は十分な保険をつけていない場合が多く、私が見るところでは、政府が再生資金を負担することになるのではないかと思う。
これはタイミングとしては悪い。公的部門の負債が大きく、かつ、予算可決までの政治家同士のかけひきがうまくいっていないからだ。
しかし、政府ができることはある。例えば、政府が保有する米国債の一部を、日米関係に支障がない程度に売却することだ。赤字国債を追加発行するべきではない。すでに巨額になっている。
--今は、日本株に投資する時期だろうか?
判断するにはまだ時期尚早だ。原発事故の詳細もまだ確定していない。しかし、地震直後から続いた株価の大幅下落は、日本経済や企業に対する長期的な、合理的な判断によるものではなく、感情(センチメント)が動因だった。この点からは、日本株に投資する時期がもうすぐ到来するともいえるのかもしれない。
これほどの人的および物理的な資本が破壊されたとはいえ、日本はいまだにGPDでは世界第3位の大きな経済だ。これをすべて崩すほどの災害ではないだろう。
ただ、外国人投資家にとっては思案のしどころだ。為替の先の動きがつかみにくい。
--日本が現在のような経済状況に陥った理由をどのように分析するか?
深刻な構造上の問題があるからだ。つまり、高齢化、いびつな人口分布などが大きく作用している。需要も不十分だ。国民はデフレを懸念しながら生活してきた。不景気のもともとは1990年のバブル崩壊後の金融危機から発生したものだが、構造上の問題は大きいと思う。震災後、価格上昇の圧力が働き、日本はデフレからインフレ圏に向かうかもしれない。