異次元ではない「確かな少子化対策」が身近にある これからは「地方自治体の役割」が一段と重要に

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防衛費倍増や原発再稼働などと同じく、岸田首相が「有言実行」スタイルであるのは結構なことだ。しかし財源として、消費増税に踏み込んだ甘利明前幹事長の発言はいただけない。そんなことをすれば、諸事物入りな子育て世代をガッカリさせること間違いなしではないか。

予算規模はおろか、政策メニューが決まる前から財源について触れたがるのは、財務省のDNAを色濃く受け継ぐ現・宏池会政権の「よろしからぬ傾向」であるように見受けられる。

かかる岸田首相の方針発表に対し、マーケットの反応が興味深かった。さぞかし「子ども関連株」が買われるかと思ったら、誰でも知っている「ピジョン」(育児用品)や「ベネッセHD」(教育)、「西松屋チェーン」(子ども服)などはほとんど変化なしだった。

上がったのは、どちらかというと「SERIOホールディングス」(育児支援)や「タメニー」(婚活サービス)、「ベビーカレンダー」(育児サイト)など、聞いたことがない銘柄ばかり。要は皆さん本気にしていないから、大型株には手を付けずに、小型株の思惑買いの材料に使われたようである。いつものことながら、こういうマーケットのぶっちゃけで現金な反応って、好きだなあ。

2022年の出生数はついに「80万人割れ」へ

あらためて少子化問題の深刻さを確認しておこう。2022年の出生数は80万人割れの見込みである。厚生労働省の公表によれば、2022年1月から10月までの累計で出生数は66万9871人、死者数は128万9310人である。するとこの10カ月分の人口減少は、61万9439人というゾッとするような数となる。この勢いが継続するようなら、わが国の人口は遠からず1億人を割り込むことだろう。これはやっぱりエライことである。

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