防衛費増額で財源にこだわる人の根本的な問題点 むしろ「縛り」が必要なのは財務省のほうだ

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「防衛費の増額」をめぐっては「財源はどうするんだ!」と反射的に問う議論が多かった。だが筆者はそれは「有害」だと指摘する。なぜだろうか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

あけましておめでとうございます。本年もご愛読をよろしくお願いいたします。

さて、さまざまなイベントがあった2022年だったが、年末にかけて頭を抱えたくなるような気分でニュースを見たのは、防衛の議論だった。反撃能力(敵基地攻撃能力)の保持や防衛費の対GDP比2%への増額などが、あれよあれよという間に決まった。

「防衛について考え直す」のは当然だが・・・

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ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本でも防衛について考え直すこと自体に違和感はない。むしろ当然だろう。

敵基地攻撃能力の保持については、「この手」によって敵が日本に手を出しにくくなって日本の安全性が増すのか、むしろ攻撃対象のターゲットとなりやすくなって危険が増すのかなどについて、納得できるゲーム論的な説明を聞きたい。

一般論として「戦いというもののコストパフォーマンス」を考えた場合、「受け一方」ではよほど戦力的に優位な差がないと勝ちにくいのが普通なので、反撃能力の保持は検討すべき選択肢の1つだろう。

平和主義を掲げて戦力を最小限の受動的防衛にとどめるという選択肢は、相手側に独特の合理性を仮定したときに有効かもしれない。だが、潜在的な敵に関して、そこまで信頼できるものかとも思う。

また、戦争を放棄した日本国憲法との関係については、解釈改憲という悪知恵に社会も司法もすっかり協力的なわが国では、今さら気にしても仕方がないのだろう。善し悪しは別として、これも想定の範囲内だ。

防衛予算を対GDP比2%に倍増させる方針があっさり決まったことについては、岸田内閣に似合わない決断スピードに驚くが、実質的に決めたのが日本の「親会社」的存在であるアメリカの意思なのだと考えると、これも容易に納得できる。

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