アメリカの軍産複合体は、ウクライナでの実質的な代理戦争を通じてアメリカ人の血を流さずに武器・戦争ビジネスの需要を作るビジネスモデルの開発に成功した。
この種のビジネスにとって潜在的に有力なお得意さんである日本に、購買予算の増額を迫るのは自然だ。純粋にビジネスの問題として考えると、日本企業にとっても大きな成長市場が登場した。
こと「戦争」に関しては、平時の想像を超えるようなスピードで物事が決まって既成事実化される可能性が大きいことについて、いかにも戦争に駆り出されるかもしれない若い世代だけでなく、今やその上の世代も含めて心の準備をしておく必要がありそうだ。
さて、「頭を抱えたくなった」のは、防衛費増額をめぐる財源の議論に関してだ。防衛予算増額の必要性をきっかけとして増税を決めたいとする意見と、現在の経済状況で増税は不適切であるとして国債を財源とすることを検討すべきだとする意見とがぶつかった。
メディアの論調では、防衛費を増額する以上、その財源を決めずに議論することは無責任だとして、国債による資金調達を「増税の先送り」として批判する意見が優勢だったように見えたが、はたしてこれでいいのか。
「支出・財源対応システム」の何が問題なのか
財政支出を伴う政策が論じられるときに、その支出の「財源」が反射的に問われることが多いが、これは適切なのか。
そもそも、お金は、その使い道と使うタイミングに関して柔軟性を持っていることが長所だ。個々の支出項目に、個々の収入項目を対応させる必要はない。
国の財政は、比較的毎期きっちりと支出と収入の収支が見合う必要がある「家計」よりも、複数の事業を行いながら全体の必要性に応じて資金を調達したり運用したりする「企業財務」により近い。
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