25年間「英語辞典"一筋"」だった彼の驚きの現在 なぜ50代にして「キン肉マン図鑑」を作ったのか

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そんななか、芳賀氏はさらなる挑戦に打って出た。『学研の図鑑 キン肉マン』シリーズの制作だ。

『キン肉マン』を愛した少年時代と、辞典編集者としてのキャリアが異色の図鑑を生み出した(©YUDETAMAGO)

『キン肉マン』は自身が子どもの頃から作品のファンであること。昭和から続く「学研の図鑑」ブランドとの世代的な相性のよかったこと。『学研の図鑑 キン肉マン』シリーズはこうした背景から誕生したわけだが、図鑑事業の戦略的にも『キン肉マン』という作品は理にかなっていたらしい。

「図鑑の場合は、辞典と違って、電子化したくても容易にはできない、という課題を抱えていました。図鑑は使用する写真をエージェンシーから借りることが多く、装丁だけ変えた別バージョンや電子版をつくろうと思っても、許可取りの手間や使用料がその都度発生するため、2次利用や原価低減にはつながりにくいんですね」 

一方で、『学研の図鑑 キン肉マン』シリーズのイラストはすべてイラストレーターの描き下ろしだ。版権自体は著者のゆでたまご氏に帰属するが、一式「学研の図鑑」のために制作されたコンテンツは管理もしやすく、今後の2次利用を考えたとき、結果的に手間やコストを抑えやすい。加えて、オリジナリティーというコンテンツの価値を提供できる強みもある。 

「『動物』『昆虫』『恐竜』など学研の図鑑の定番ラインナップに、キン肉マンの『超人』が加わったらそうとうなインパクトがあるとは、前々から考えていましたし、スムーズに社内でも企画が通りました。企画を出す前に許諾の問題がクリアできていたことも大きかったです。実は『スター・ウォーズ英和辞典』が発売された頃には、担当編集者としてゆでたまご先生を見いだした中野和雄さんや、先生ご本人と少し交流させていただくような関係になっていて。ゆでたまご先生から集英社に話を直接通してくれたんです」

聞けばまず編集者として中野氏と知り合ったあと、ゆでたまご先生を紹介してもらっていたという。その過程ではもちろん、小学生時代に芳賀氏が考えたキャラが超人として採用されていたことも、いい影響を及ぼした。人生の中で残してきた足跡が、伏線として回収されていったのだった。

プロの仕事によって実現した『学研の図鑑 キン肉マン』

700種類以上と言われる数多の超人たちをまとめた「超人」図鑑と、本編に登場する1400以上の技を網羅した「技」図鑑。その最大の特徴はなんと言っても、本気の図鑑・辞典づくりの仕事とノウハウが落とし込まれていることだ。

図鑑・辞典づくりノウハウが落とし込まれた「技」図鑑(©YUDETAMAGO)

「あくまでキャラクターブックではなく、学習図鑑の軸となる全体の基準とコンセプトをブラさないようにした、ということです。

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