ドイツが歩兵戦闘車を供与する決断を下したことは、これまで欧州の安全保障に対する指導的役割を担ってこなかったドイツの立場を変える可能性がある。他の西側大国の様子を見ながら意思決定をするドイツ外交のスタイルの転換圧力にさらされている。
日本は安全保障で指導力を発揮できるか
日本はドイツと同じ敗戦国として、第2次世界大戦後、連合国側によって封じ込められ東西冷戦期を過ごした。ドイツが日本と異なる点の1つは、周辺国は同じキリスト教文化を共有する国々で、冷戦後は自由と民主主義、法による支配の価値観を共有し、2004年から2007年にかけて旧中・東欧12カ国がEUに加盟し、同じEU法の下で統治されていることだ。
ひるがえって日本と価値観を共有するのは、アメリカ以外では韓国と台湾だが、韓国は安全保障面で日本と足並みがそろっているとは言い切れず、台湾は中国の侵攻の脅威にさらされている。ドイツとの違いは大きく、安全保障面ではアメリカ以外に日本は頼れる国はない。
ただ、ドイツ同様、国としての独立性や主体性が期待される状況に変わりない。ウクライナ紛争で世界の枠組みが大幅に変更される中、日本は中国や北朝鮮の脅威への対処、アジア太平洋地域の安全保障でも指導力が期待されている状況にあり、敗戦のしがらみから一気に脱する年になることを西側諸国は期待している。
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