ドイツが急転換「ウクライナへ戦闘車供与」のなぜ ロシアの侵攻から10カ月、軍事支援を一段と強化

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ドイツのキール世界経済研究所によると、昨年11月時点での対ウクライナ支援総額では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国内ではアメリカが抜きん出ており、続くイギリスが他の欧州諸国に比べ圧倒的だ。ドイツは3位だが、武器支援だけみると、ドイツはアメリカに次ぐ2位でイギリス3位、ポーランド4位の順だ。一方、国内総生産(GDP)比ではラトビアなどバルト三国、旧東欧、北欧に次ぐ0.14%でドイツは10位だ。

ドイツのウクライナ支援拡大を妨げているのは、政治的配慮の影響が大きい。巨額の軍事支援をするウクライナの隣国ポーランドや東欧周辺国から見れば、中・東欧内で最も支援が期待される欧州最大の経済大国ドイツの消極的姿勢に不快感は高まる一方だ。

EU加盟をめざすウクライナにとって、軍事兵器と軍事に関わる財政支援で、ドイツの支援総額23億ユーロに比べ、イギリスは41億ユーロとはるかに上回っているのも欧州内の温度差を感じさせる。

欧州の軍事専門家らは「軍事支援のエスカレーション(段階的な拡大)への恐怖は、ドイツの政策検討の支配的要因」であり、ロシアを自国の安全保障上の差し迫った脅威と認識していないと指摘した。その危機感はウクライナの隣国ポーランドやフィンランド、バルト三国、チェコ、スロバキアからはかけ離れている。

ドイツ国内で割れる意見

外圧で今回、エスカレーションの1歩を踏み出したドイツだが、国内ではベアボック外相率いる緑の党とリンドナー財務相率いる自由民主党が支持する一方、ショルツ首相の出身政党で連立与党最大の社民党は消極的だ。国内世論も割れている。

さらにヨーロッパ内での危機感の隔たりも大きく、各国間の温度差は今後、問題になりそうだ。そこで、対ロシア外交でアメリカを除くNATO加盟国の中で、ヨーロッパの安全保障に指導力を発揮する国はあるのかという疑問が浮上している。

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