テリー伊藤は、ここまで徹底している!

「批判される男」に学ぶ4つの仕事術

ただ、テリーさんはより意識的に、素人だけではなく、大衆メディアとしてのテレビでは流れないような人たちをもテレビに映し続けた。札束をもって現れる城南電機の宮路社長もテリーさんの発見だった。個人的には『浅草橋ヤング洋品店』に驚愕した。

同番組で、筆者が愛聴していたボアダムズ(当時)の山塚アイさんとナインティナインが共演を果たしたからだ。ボアダムズの山塚アイさんといえば、ダイナマイトでライブハウスを破壊しようとしたり、チェーンソーで自らの足を切ったりと、絶対にテレビと無縁のはずの人物だった。

「世の中の動向だけにとらわれるな」

テリーさんがこういった人たちを注目し、かつスポットをあてたのは、優しさからではないと筆者は感じている。単に笑えるからだ。利用価値があるからだ。しかも自分が見つけた対象ゆえに、競争相手(メディア)もいない。テリーさんは、あまり世の中の動向だけにとらわれるな、と言った。世の中から遅れるのはいけないが、情報だけに振り回されてもいけない。まずは自らが「これだ」と思う対象を見つけることだ、と。

人気者が登場すればこぞって取り上げ、ブームが去ったら見向きもしないのはこの世の常だが、なぜテリーさんはそもそも誰もが目をそむける人を見つけてこられるのか。

それは、きっと対象物への評価が等価だからだ。元長野県知事で作家の田中康夫さんが「岩波文庫とルイ・ヴィトンは等価だ」と述べた前から、テリーさんの中ではすべてが等価なのだろう。東京スポーツの1面のように、スポーツから政治家、アイドル、はたまた宇宙人にいたるまで、「面白い」のひとつでつながっている。

先入観をなくし、すべての対象に可能性を感じ、そして興味を持つ。言うのはたやすく、行動は難しい。しかしビジネスパーソンにもヒントになる。単に時代と寝るのではなく、自ら面白いと思うものを信じて企画を立てる。当然ながら、これが大切なのだろう。 

③ 究極の俗物であり続ける

テリーさんの著作をほとんど読んでいる筆者にとっても、やはり衝撃的だったのは、『お笑い北朝鮮』『お笑い大蔵省極秘情報』『お笑い外務省機密情報』の3作だ。

これらは、真面目に論ずるべき対象を、笑う対象として書いた衝撃の書だった。『お笑い北朝鮮』ではあの国を、笑える展示物の多いエンターテインメント施設としてえぐり出した。『お笑い大蔵省極秘情報』では政治家と大衆をバカにする大蔵官僚の本音を引き出すだけではなく、奥さんとの馴れ初めまで、大蔵官僚というベールにつつまれた職業人を一気に地上に引き下ろした。『お笑い外務省機密情報』は浮世離れした外務官僚の実態と蓄財状況を暴露した。

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