製薬企業が医師に払うお金の知られざる最新事情 製薬マネーデータベースで見る医療界の実態
一方、小野薬品は先駆けて三重大学病院において販促の見返りに奨学寄付金を提供していたことが発覚し、2021年1月、社員2名が贈賄罪で、同病院の元教授も第三者供賄罪で逮捕・起訴されている。東洋経済の取材に対し、小野薬品は、この事件を受けて「延長を含め、新たな寄付講座への寄付の取りやめを決め、寄付講座への寄付の延長を中止した」(小野薬品広報)と説明している。
そのためか、広島大学は「2021年4月以降は小野薬品による寄付講座への寄付の延長はなく、現在は別企業から2100万円の寄付を受けているが、その経緯についても調査会で調査している」(広島大学広報室)という。
奨学寄付金と寄付講座は、医師個人に支払われる講演料などと違い、表にでる金だ。さらに寄付を受けるのは、医師個人ではなく大学だ。贈収賄の対象外と考えられてきたノ社事件以降、多くの製薬企業は講師料などの支払いを減らし、こちらにウェイトを置いてきた。
製薬企業が奨学寄付金や医師に払う金の実態
表1は、2020年度に製薬協に加盟する企業が支払った奨学寄付金のランキングだ。中外製薬の13億5050万円を筆頭に、8位のアッヴィ(アメリカ)以外は、国内製薬企業が名を連ねる。小野薬品は7位で、その総額は5億3000万円だ。
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2020年度、医師個人への支払いは、表2のようになる。奨学寄付金ほどではないが、こちらも上位には国内製薬メーカーが名を連ねている。小野薬品は12億3473万円で、第一三共に次いで第2位だ。
製薬企業は営利企業だ。奨学寄付金や医師個人への金銭の支払いは、売り上げを上げるための営業活動の一環である。ライバル企業が類似の薬を販売しているとき、製薬企業は金によって処方を増やそうとする。逆に画期的な新薬は、このような形での販促を行わずとも医師が処方する。
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