"コイン投げ"の方程式でわかる「あなたの寿命」 理論物理学者が「病は気から」を科学的に検証

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これは、その球面全体に放射される毎分あたりの太陽エネルギーの総量で、太陽が毎分あたり周囲に放出している全エネルギー量になります。

ここで、太陽の重さ(正確には質量)は、2の後ろに0を30個つけた(2×1030)㎏ですから、人間の体重と同じくらいの太陽のヒトカケラ、50㎏あたりの毎分の発熱量を計算してみると、およそ0.15㎈/分になります。意外に小さいですね。でも、太陽がとてつもなく重いので、発熱量は途方もなく大きくなるのです。

その一方で、私たち人間の平均一日あたりの食物摂取量を、およそ2400㎉(=2.4×106㎈)(※2)であるとすれば、毎分あたりに換算すると、一日は24時間(=1440分)ですから、1440で割れば、1670(=1.67×103)㎈/分になります。

つまり、同じ重さあたりで比較すると、人間は、食物から摂取した物質を化学変化させて、太陽の1万倍以上のエネルギーを作り出して体温を保ちながら日々の生活を送っているということです。すごいですね。生きている人間の温かさの源泉です。

私たちは、たしかに星のカケラからできているのですが、単なる星のカケラではない人間のすごさは、こんなところにもあるようです。

「病は気から」を科学的に検証する

そのようにものすごいエネルギーを持つ人間ですが、病と無縁ではいられません。病は心の持ち方にも左右されるという意味で、古くから言い伝えられてきた「病は気から」ということが、科学の視点から見て、明らかにされようとしています。

実は最近になって、人体の各臓器は、それぞれメッセージ物質を交換しながら全体としてバランスを取っていることが科学によってたしかめられています。さらに、分子レベルの研究では、免疫細胞に、神経からの情報を受け取る部位が発見されており、ストレスと病との関係が、明らかになりつつあるのです。

つまり、気持ちの持ちようが、免疫力に影響をあたえ、病気とも深い関係があるということですね。実際、アメリカのある大学での癌患者生存率の研究で、病を素直に受け入れたうえで、未来のことは、そのときになってみないと確定的にはわからないと考え、現状の受容と未来への希望を持って生きている患者のほうが、悲観的、絶望的な毎日を送っている患者よりも、平均生存率が高かったことが確認されています。

私自身のことでいえば、今から4年ほど前、癌で摘出した臓器の生体検査から、私の癌はなんと平均余命が5年のきわめて珍しい悪性癌であることが判明しました。

「え〜っ?」という驚きはありましたが、考えてみれば、平均余命とは統計上の数値で、5年を中心に前後の幅があるはずです。そこで、癌になった、というより、癌が見つかったといいかえて、癌と共存しながらの生存実験をしてみようと思い立ちました。

思い返せば、70代に入ってから、ある学園の建て直しを乞われて断り切れずに、研究職時代とはまったく別のストレスまみれになったことが免疫力低下を招き、癌に罹患したのかもしれません。

そこで、余命期間の先まで、毎年「……歳記念」と銘打って、私自身のイベントを企画し、公表して、みなさんに実現をお約束することを生きる目標にしました。

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