さらに、UberやAirbnbのビジネスモデルの特徴は、会社自体は車や家を保有していないにもかかわらず、顧客の求めるものを既存サービスより安価に提供しています。宿泊業を行うには施設を、配車サービスを行うには車を持たなければならない、という固定観念を壊したという意味でも、サードドア思考にもとづいたビジネスモデルであることがうかがえます。
サードドア的思考をよりイメージしてもらうために、ここで一つ練習問題を出してみます。
図のように、点Aと点Bが書かれた紙があるとします。この点Aと点Bを結ぶ最短のコースはどのようなものになるでしょうか。
普通に考えれば、「点Aと点Bを直線で結ぶ」のが最短のように思えます。
(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
しかし、この考え方は正攻法。つまり、ファーストドア的なものです。サードドア的思考で、違うアプローチを考えてみましょう。
問題文にもう一度注目してみてください。実は、「点Aと点Bが書かれた紙があるとします」という部分に、サードドアのヒントが隠されています。
どういうことか? 「紙そのものを折り曲げ、点Aと点Bを合わせればいいじゃないか」という答えが導かれます。これが、サードドア的思考による解答です。
「ずるい……」という声が上がりそうですが、情報を見落とさずに、誰よりも楽な方法を導き出す、それこそがサードドア思考による戦略なのです。
「思考のレッド・オーシャン」から抜け出そう
競争が激化するビジネスにおいて、こうしたサードドア的な発想は、重要性を増していると感じます。もちろん真正面のファーストドアで戦略を立ててもよいのですが、正攻法のファーストドアについては誰もが毎日のように考えており、いわば「思考のレッド・オーシャン」となっています。だからこそ、裏口、抜け道のサードドアも考えてみましょう。そして、そのサードドアは、シンプルに情報や問題をとらえることで初めて見えてきます。
これからの時代にみんなと同じことをしていては、自ら勝率を下げているようなものです。独立思考を形成する上でも、まずは情報を正しくシンプルに読み解き、切り口をシンプルに見つけること。そして、誰もが気づいていないサードドアを発見すること。この二つが必須のスキルといえるでしょう。
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