M-1優勝ウエストランドに流れる爆笑問題イズム 「いいとも」レギュラーの一方、不遇の時代も

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実は、早い段階でチャンスに恵まれた2人。2008年にコンビ結成後、2013年に国民的な番組『笑っていいとも!』(フジテレビ系)でアルコ&ピース、パンサーとともに週替わりレギュラーに抜擢されている。

芸歴6年目にしてお昼の顔となり、悠々自適な日々を過ごしたかと思えばそんなことはない。相変わらずアルバイト生活は続いていた。その落差に戸惑う間もなく2014年に番組は終了。再び振り出しに戻った彼らは、その後6年もの間苦汁をなめることになった。

2014年、同じ事務所の日本エレキテル連合がブレーク。ネタで使われている「ダメよ〜、ダメダメ」が『ユーキャン新語・流行語大賞』の年間大賞を受賞するなど、一躍時の人となった。

一方で2018年には、「キングオブコント」でハナコが、「M-1」で霜降り明星が優勝。翌年から2020年にかけて、20代の若手芸人を中心とした「お笑い第七世代」ブームが巻き起こり、「優しい笑い」「コンビ仲が良い」とされる芸人も支持され始めた。

バラエティーでは年々コンプライアンス重視が叫ばれ、ウエストランドの毒舌は時代にそぐわないものとなっていく。とはいえ、こうした不遇の時期を経たからこそ、鬱積した井口の叫びは説得力を増し、時代のカウンターとなったに違いない。

東野幸治が井口に期待

2020年のM-1決勝に進出したのを足掛かりに、ジワジワとバラエティーの露出を増やしたウエストランド。とくに井口は、持ち前の饒舌ぶりで存在感を示していく。

今年に入り、東野幸治がMCを務める『マルコポロリ!』(カンテレ)にたびたび登場。10月には、同番組で「ウエストランド井口大好きクラブ」という企画まで組まれた。東野は、井口が大好きなようだ。

なぜ井口は、そこまで気に入られたのか。そのきっかけについて東野は自身のYouTubeチャンネル『東野vs』内の動画「東野VSウエストランド井口(タイタン)」の中でこう語っている。

「運動無理、勉強できひん、モテないってなったときに……ほんで一重、全部乳歯、ふくらはぎない(笑)。そういう男が這い上がっていくっていうのは『お笑いしかないんだ』っていうメッセージを(筆者注:M-1 2020のネタで)いただいたんで、すごいやつ出てきたなぁと思って」

東野が面白おかしくイジり、それに輪をかけて自虐エピソードやキレのあるツッコミを返して笑わせる井口。こうしたバラエティーでの芸風も、ウエストランドの漫才の強みとなった。

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