東急役員が解説「東急沿線」"2023年住みやすい街" 蒲田、新綱島、鷺沼――いい所悪い所すべて検証
2030年頃には、横浜市営地下鉄ブルーラインが延伸されて、すすき野付近にも新駅ができる予定です。自然豊かな環境で、趣味を楽しみながら、自分らしく働き、暮らし、さらにのびのびと子育てをする。でも交通利便性も譲れないという欲張りな世代にはぴったりのエリアになることでしょう。
続いて「藤が丘駅」です。
たまプラーザをモデル地区とした次世代郊外まちづくりは、最初からたまプラーザだけで完結するのではなく、横浜市北部地域、東急田園都市線沿線の各駅、街に横展開していくことをイメージしていました。駅ごとの状況や地元との合意形成の状況によって進み具合はそれぞれ異なるのですが、「昭和大学藤が丘病院」を抱える藤が丘駅は、当初から注目を集めていました。
1975年に開設された藤が丘病院は幅広い診療科目をもっているほか、3次救急指定病院にもなっており、横浜市青葉区広域の地域医療の核となっている重要な病院です。
しかし、施設の老朽化も目立ってきたので、早晩建替え等の必要が出てくることは必至で、2018年に横浜市、昭和大学、東急の三者で藤が丘周辺のまちづくり推進に関する協定書を締結しました。
他の多摩田園都市の街同様、藤が丘周辺地区も高齢化や都市機能更新などの問題が顕在化していますので、駅前にある古い商業施設、駅前広場、病院、公園などを一体的に利用して、これらの諸課題を一気に解決しようという意欲的なプロジェクトです。
2021年に「藤が丘駅前地区再整備基本計画原案」はできており、幅広い意見聴取を行いながら、計画をブラッシュアップしているところです。大規模医療機関、公園、駅前商業施設等の民間敷地を大胆に入れ替え、次世代の藤が丘に必要な都市機能更新を行う本計画は非常に意義深く、注目のプロジェクトと言えます。これによって藤が丘は大きく生まれかわることでしょう。
田園都市線沿線の各駅では、それぞれがまちづくりの方向性を見直し、自治体、地域住民などとともに議論を重ねながら、アフターコロナ時代でも持続可能な自立分散型のまちづくりの方向性を見据えています。そんな街がどんどん増えているのはとても誇らしいことです。
誰もが知る街でも「建物の老朽化」が問題に…
最後に注目するのは「蒲田駅」です。
戦前、蒲田には松竹の蒲田撮影所がありました。映画『蒲田行進曲』にも残されたように、蒲田=キネマの天国であり、それこそ小津安二郎や田中絹代、高峰秀子などの映画人を多数輩出する、かなりハイカラな文化度の高い地でした。全盛期には10館ほどの映画館が営業していたそうです。
その後、蒲田周辺は京浜工業地帯の一角として発展し、町工場などが多数立地するようになります。そんな環境が映画撮影には向かないということで、1936年に撮影所は大船に移転してしまい、「映画の街蒲田」の火は徐々に消えていきました。
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