「AIは心を持つのか」哲学者が積み重ねた深い議論 脳をシミュレートすれば本当に心が生じるのか?

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AIに人間が脅威を感じる背景にあるものとは(画像:いらすとや)
歴史上の哲学者たちは個人的な悩みだけではなく、社会問題や事件についても考えてきました。現に、大きな問題―政治的変革や戦争、自然災害、パンデミックなど―が起こるたび、哲学の英知が求められます。VUCAとも呼ばれる不確実な時代にあり、未曽有の事態の本質をどう捉え、どう考えていけば良いのか……。今や、より主観を重視した創造的な思考が求められます。
小難しいイメージがありますが、哲学は一種の思考法であり、誰もができることなのです。哲学は、次の4ステップでできます。1.疑って、2.視点を変えて、3.再構成する。そして、4.その結果を言葉で表現する。『世界が面白くなる!身の回りの哲学』を上梓した哲学者の小川仁志氏が、身の回りにあるさまざまなことを「哲学する」意義を説明します。

AIの脅威とは

AIに仕事を奪われるとか、AIが人間を支配するといったように、ひところAIは宇宙人が侵略してくるかのような勢いで論じられていました。そのような状態も最近は少し落ち着いたように思います。

しかし、それはAIの実態がわかってきたからではありません。むしろ、AIが社会に定着してきたからです。AIが人間を支配する日も近いのかと思われるかもしれません。世の中の動きも含めて、AIについて考えてみましょう。

そもそもAIが恐れられるのは、人間よりも賢いこと、それ以上に人間と同じ心を持つと考えられているからです。人間よりも賢いという点は、賢いの意味をどう解釈するかにもよりますが、少なくとも情報処理能力に優れているのはたしかです。人間が頭を使う営みのほとんどが情報処理だとすれば、AIのほうが賢いということになります。

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