「睡眠に悩む日本人」の腸内で何が起きているのか 腸と脳でつくられるセロトニンはそれぞれ異なる

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脳と腸はどのように関係しているのでしょうか(写真:takeuchi masato/PIXTA)
リモートワークの増加で生活が不規則になるなどの影響で、睡眠の悩みを抱えている人は少なくありません。そうした中で、睡眠の質を左右するものとして近年注目されているのが腸です。「ウンチ博士」として知られる辨野義己氏が、睡眠と腸の関係を解説した書籍『最高の睡眠は腸活で手に入る』より一部抜粋してお届けします。

ストレスは腸にも睡眠にも大敵

便秘でも下痢でも、精神的なストレスがお腹に影響を与えることからもわかるように、「ストレスは万病のもと」といって差し支えないでしょう。

そこからさらに一歩踏み込んで、睡眠にも影響したり腸と脳につながりがあったりするというと驚かれるかもしれません。

腸は長らくウンチをつくって出すところだと思われて、以前はあまり重要視されてはいませんでした。ところが近年ではさまざまな腸の機能が明らかになってきて、免疫系やホルモンなどの内分泌系、さらに体の神経のしくみとも深く関係していることがわかっています。

とくに、腸の神経系は、脳神経と同じような広がりを持っていることがわかっています。脳が腸の働きに影響を与えるだけでありません。腸と脳とのやりとりは決して一方通行ではなく、腸から脳へのフィードバックもあり、いってみれば双方向のやりとりがあります。

さらに腸管神経系といわれる独自のネットワークによって、脳とは別に自律的に情報処理や伝達が行えることもわかっています。

腸を指して「セカンドブレイン」、つまり「第二の脳」と呼ぶこともあるようですが、私にいわせればむしろ反対。“腸が先だ”といいたいくらいです。それは生物の進化と発達の歴史からみても明らかです。

生物界を見渡すと、脳のない生物はいても、腸のない生物はいません。たとえばイソギンチャクやナマコのような腸と口に神経や感覚器官を備えた生物を腔腸動物といいますが、彼らは腸でさまざまな判断をくだして生きています。

私たち人間は脳を持っていますが、腸の働きが別格なのは、その発達の過程からも明らかです。卵子と精子から受精卵ができ、それが細胞分裂によって胚(はい)となり、分裂を繰り返して個体として発生していく途中に「原腸胚(げんちょうはい)」という段階があります。内臓の中ではどんな器官よりも最初に腸ができるので“腸が先”なのです。

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