親が「ドリームキラー」の子に見えがちな問題行動 親の価値観の押し付けをしていませんか?
なぜ近親者はドリームキラーになりがちなのでしょうか。1つには、盲目的な愛情の深さです。「この人には、失敗してほしくない」そう願うあまり、自分の経験値の中から「失敗しない道」をその人の人生に敷こうとする。その人の幸せを願うあまりに、無難な道を選択させようとします。
残念ながら、その無難な道が、危険なのです。インターネットの普及により、親が生まれ育った時代とは、価値観、産業構造、情報収集の方法、学んでおくべき学問など、あらゆる分野が大きく変化しています。一流大学の看板学部が入れ替わり、大企業の一部は、斜陽産業の象徴となり、所得を得る方法が多様化しています。
「そんなことは、わかっている」と言われるかもしれません。しかし、その「わかっていること」が、自分の身近な人のこととなるとわからなくなる。どうしても自分の価値観で、「こっちのほうが安心で確実だ」と思えるほうに誘導しようとしてしまいます。こうなると、
(決めつけてかかるステレオタイプ)
「あなたのことを思って、地方勤務のない会社のほうがいいと言ってるの」
(「よかれ」と思っての慈悲的差別)
「お父さんでも入れたんだから、あなたもこの大学に入れるはずだ」
(都合のいい話にすり替える確証バイアス)
「あなたの年齢の頃、私はもっと本を読んでいたわ」
(成功者の経験を押しつける生存バイアス)
といった「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)」にかかった発言をしてしまう。あなたの思い込みが、子どもが、前進したり、後退したり、斜めに進んだり、回り道をしたりできる人生における「未来の地図」を奪ってしまうのです。つまり、ドリームキラーとは、愛情深いがゆえに無意識の思い込みで、人の未来を決定しようとする人のことなのです。
ドリームキラーにならないために
ドリームキラーにならない方法はあるのでしょうか。本やネットで検索してみるとさまざまな方法が書かれています。偏見を持たないために情報収集し、選択基準をアップデートすることが重要なのは誰でもわかります。
しかし、私はそれ以前に、「私にもアンコンシャス・バイアスがある」と、強く意識してから、相手に語りかけることが大切だと考えます。自分の意見を「絶対」や「正解」と考えず、自分の生きてきた時代環境と経験を帯びた思い込みを含んだものだと自分に言い聞かせる。その足かせをしたうえで、相手に語りかける。同時に、相手にも「無意識の思い込み」があることを理解してもらう努力をする。
互いが、アンコンシャス・バイアスにかかっていることを理解したうえで、最上の策を冷静に考えていく。これがドリームキラーにならず、相手のよりよい人生を考える最善の策です。
「親だからあなたのことは全部わかる」ではなく、「親だからこその無意識な思い込みがあるうえでの、私の理解するところ」という境地で話すことを、ぜひ心がけてみてください。
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