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iPS細胞を駆使、実用化は近い?再生医療の最前線 腎臓、角膜、心筋「再生医療研究」第一人者を取材

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実は、心筋細胞1つひとつをバラバラに移植しても生着(そのまま心筋として機能し始めること)する率は低い。そのため、「心筋球」と呼ぶ1000個ほどの心筋細胞の塊を作って移植する方法を開発した。注射針で移植する際、出血して心筋細胞が外に流れ出てしまうのを防ぐため、特殊な専用針も開発した。「安全で効率よく投与する技術を地道に探し続け、ここまで四半世紀かかりました」と振り返る。

心筋の特徴は細胞分裂をするのではなく、細胞そのものが数十倍に成長し、心不全のため弱ったもともとの心筋の代わりに働き始める。現在進められている臨床研究は、拡張型心筋症の患者が対象。第三者のiPS細胞から心筋細胞を作製し、心筋球に加工。約5000万個の心筋球を患者の心筋に直接注入する。

再生心筋を世界に普及させたい

iPS細胞を使って心不全を治療する臨床研究は、他の大学も進めているが、「心筋に直接移植でき、長期的な生着が期待できるのが相違点」と強調する。

福田教授がCEOを務めるHeartseedは2021年、デンマークの大手製薬会社ノボ・ノルディスク社と業務提携を行った。「私たちが開発した治療法をできるだけ早く世界に普及させるため、広いネットワークを持つ海外企業と組んだ」と、福田教授の語る今後の展望は尽きない。

「今のところ移植には開胸手術が必要ですが、患者の負担を減らし、より多くの施設で簡便に実施できるよう、カテーテルでの投与法を研究しています。免疫拒絶反応のない患者本人のiPS細胞やHLA(ヒト白血球型抗原)ノックアウト株のiPS細胞を利用した心筋作製の研究も進めています。これまで同様、1つひとつの課題をクリアしながら慎重に進めていきたい」

(取材協力:両角晴香)

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