iPS細胞を駆使、実用化は近い?再生医療の最前線 腎臓、角膜、心筋「再生医療研究」第一人者を取材

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「あるタンパク質を敷いた培養皿でiPS細胞を分化させると、網膜細胞や角膜上皮細胞などさまざまな目の細胞に分化することがわかり、研究は一気に進みました」(西田教授)

他者のiPS細胞から作った角膜の細胞を厚さ0.05ミリのシート状に加工し、角膜上皮幹細胞疲弊症患者4人に移植する臨床研究を2019年に開始。前述のように1年後、良好な結果を得た。次のステップは治験。数年後の実用化を目指している。

西田幸二・大阪大大学院教授(眼科学)
西田幸二・大阪大大学院教授(眼科学)

西田教授は現在の課題について、「コストがかかること」を挙げる。

自分の細胞から作るiPS細胞は拒絶反応はないものの、オーダーメイドとなるためコストが高くつく。そのため、公益財団法人「京都大学iPS細胞研究財団」(山中伸弥理事長)が遺伝的に拒絶反応を起こしにくい人の細胞でiPS細胞を作り、備蓄する事業を始めている。西田教授も理事の1人だ。

「これを製品化し、大量生産することでコストを抑えることができる。iPS細胞から作った角膜細胞は保存も可能なので、ストックすることで世界各地に輸送し、多くの人の治療に使うことができるようにしたい」と抱負を述べた。

「再生心筋」拡張型心筋症へ治療の道

心臓の筋肉である心筋細胞が壊死して起こる心不全。心臓弁膜症や虚血性心疾患などは新しい治療法が開発されているが、重症心不全ではいまだ根治させるには心臓移植しかない。

福田恵一・慶応大教授(循環器内科)
福田恵一・慶応大教授(循環器内科)

そんななか、iPS細胞から心筋細胞を作り、心不全の患者に移植する再生医療に取り組んでいるのが、福田恵一・慶応大教授(循環器内科)らのチームだ。実用化に向け、2015年には大学発ベンチャー企業「Heartseed」も設立した。

福田教授が心筋再生医療の研究を始めたのは1995年。「治療法がないなら自分で開発しよう。心不全が細胞の壊死によって起こるなら心筋細胞を再生して補充しよう」と決意した。

骨髄の細胞から心筋細胞を作ることに1999年、世界で初めて成功。しかし、骨髄からできる量は少なかったため、ES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞を用いた研究にシフトする。そして2016年、特殊な培養液を使うことでiPS細胞から心筋細胞を高純度で作ることに成功した。これにより、未分化のiPS細胞ががん化する危険性を回避できるようになった。

「この後も課題は次々と現れた」と福田教授は話す。

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