「貯蓄の話になって、投資の話になったら、そこにすごく食いついてきて。私、投資なんてチンプンカンプンで、聞いていても面白くない。『あ、そうですか』『なるほど』と適当に相槌を打っていたんですが、なかなかその話をやめない。私、かなりつまらなそうな顔をしていたと思うんですけど、その私の表情も読み取れない」
結局、その投資話を15分近く聞かされることになった。
「ひろゆきさんって、今まで女性と付き合った経験がない気がします。経歴は立派だし、年収もしっかりある。あの様子だと貯金もかなりしている。結婚したら経済的な心配はないでしょうけど、あまりにもコミュニケーションがすれ違っていた。この人と結婚しても、毎日が楽しくないだろうなと思いました」
子ども部屋おじさんだった
次に見合いしたのが、メーカー勤務のつねお(50歳、仮名)だった。お見合いを終えて、こちらは、よりこが交際辞退を出してきた。
「典型的な子ども部屋おじさんでした」
子ども部屋おじさんとは、数年前にネットで話題になった実家暮らしの中年男性のことだ。ニートや引きこもりとは違って、仕事はちゃんとしている。なかには、会社でいい役職についている男性もいる。ところが、一度も実家を出たことがなく、子どもの頃から使っている部屋に暮らし、小学校のころに買ってもらった学習机や本棚やクローゼットに囲まれて生活をしている。
よりこは続けた。
「身のまわりのことは、お母さんがやっているようでした。会社を終えて家に帰れば夕食もできている。お風呂も沸いている。洗濯物は出しておけば洗っておいてもらえる。『親もいつまでも元気じゃないですし』と何度か言っていました。もし結婚したら、私を母親代わりというか、家政婦代わりにするのだと思います」
さらに、つねおを結婚相談所に登録したのは、母親だったという。
「お母さんが、大手結婚相談所の親を対象にした入会説明会に行ったようです。彼が最初入ることを渋っていたら、お母さんが『入会金くらいは、私が出してあげる。親は先立つものだから、このまま独身でいられたら心配だ』と言われたそうで。50歳にもなって、年老いた親のお金で婚活を始めるって、どうなんでしょうか。小学生の習い事じゃあるまいし」
よりこは、大きなため息をついた。
次に見合いしたのは、公務員のかつや(56歳、仮名)だった。
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