NHK「過去最大の改定率」に見る若者離れの危機感 若者向けゾーン設置や夜ドラ等さまざまな施策

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高齢者の視聴者が多いNHK。どう若者を取り込もうとしているのでしょうか(写真:beauty-box/ PIXTA)

受信料の引き下げや衛星波の削減など経営のスリム化へ向けた構造改革を進めるNHK。2022年のもう1つの大きなトピックが番組編成における新たな取り組みだ。2003年の地上デジタル放送開始以降、最大規模となる地上波の改定率42%で2022年度をスタートした。

その改定の目玉の1つが、時間帯ごとにターゲットを明確にした「ゾーン編成」の強化だ。なかでも、総合午後11時台に「若年層向けゾーン」を設け、若い世代へのアプローチを強化することを明確に打ち出している。

テレビを持たない人たちも増える同世代の取り込みはテレビ界全体の大きな課題であり、高齢世代がメイン視聴者層となるNHKにとっても大命題であることは間違いない。

コロナを経たいまそれを最重要課題として掲げたNHK。その背景にはなにがあるのか。従来の高齢視聴者層へのアプローチとのバランスをどう考えるのか。2022年の新たな動きとその成果を踏まえて、NHKの現在地を探った。

過去最大42%改定率の裏に切迫した危機感

2022年度の過去最大規模となる大幅改定。その背景には、2021年度からスタートした3カ年経営計画「新しいNHKらしさの追求」がある。コロナの流行や世界的な不安定、先行き不透明な経済状況、さらには若年層を中心にテレビ保有率の低下傾向が著しいなか、新しいNHKのコンテンツを届けることを旗印として掲げている。

とくに番組編成に関しては、インターネット利用時間とテレビ視聴時間が逆転するメディア環境や視聴者行動の変化を踏まえて、次の時代への試行となる新たな一歩を踏み出す施策へと踏み切った。

改革自体は前年度からはじまり、数々の番組企画の構想が練られていた。2022年はそれらが実際に番組となり、新たなゾーンを設けて編成に組み込むトライアルが実施されると、自ずと過去最大の改訂率となった。

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