NHK「過去最大の改定率」に見る若者離れの危機感 若者向けゾーン設置や夜ドラ等さまざまな施策

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2022年度改定の考え方について、NHKメディア総局メディア戦略本部・専任部長の篠田恵一氏は2つの指針を挙げる。

「1つは視聴者のみなさまのニーズが多様になっていて、制作側が届くのでは?と考える番組だけが受け入れていただける時代ではなく、視聴者のみなさまの声にしっかり応えていこうということ。一方で公共メディアであり、社会に必要なコンテンツもお届けしなければならない。NHKの原点に立ち返って、この2つを追求した結果、地上波で42%の改定になりました」

それは同時にいままさに変えなければならない状況に置かれていることでもあり、NHKが切迫した危機感を抱えていることの現れでもある。

NHK
NHKメディア総局メディア戦略本部・専任部長の篠田恵一氏(撮影:梅谷秀司)

篠田氏は「テレビ界全体で同じ状況ですが、NHKの放送に接する人の減少に歯止めがかからないなか、視聴者のみなさまにとって必要なメディアだと思ってもらうにはこれまでのNHKではダメ。新しいNHKらしさを追求しないといけないことが背景にあります」と語る。

入れ替え式で多彩な番組を投入

民放に比べてNHKは高年齢層の視聴者が多く、同じ世代の人たちが多くの番組を視聴していることが特徴として挙げられる。テレビ離れが進む若年層も取り込むべく、NHKは総合午後11時台に「若年層向けゾーン」を設置した。

特徴的なのは、ゾーン内の枠をジャンルで固定せず、クールごとにいろいろなテーマの番組が試行的に入れ替わること。

同ゾーンに編成されるのは、ドラマやドキュメンタリー、バラエティーなどジャンルはさまざま。取り上げるテーマもゲーム、料理、数学、身体、実況、武術など幅広く、実に多彩な番組がならぶ。

4月からスタートし、現在は3クール目が終わるところだが、従来とは異なるとがった視点や切り口の多様な番組が編成されており、若い世代の関心を引こうとする強い意志が感じられる。

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