NHK「過去最大の改定率」に見る若者離れの危機感 若者向けゾーン設置や夜ドラ等さまざまな施策

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その取り組みは、若年層向けゾーン以外でも行われている。世界の著名人による講座番組『NHKアカデミア』では、まずオンラインのイベントを実施。そのあとネット上でフル視聴可能にしながら、Eテレでそのエッセンスをテレビ放送している。

一方でイベントとデジタルと放送が連動したコンテンツには、20〜30代の視聴者も固定ファンとしてついてきているという。リアルやデジタルのイベントを含めた放送だけではない届け方は、これから幅広い層を取り込む施策として増えていく分野かもしれない。

若者・高齢者両方を取り込めるか

また今後の若者向け番組に関して言えば、2022年度最後の4クール目となる1月期には、武術の心得がある岡田准一と格闘技通のケンドーコバヤシがMCを務め、武術の達人たちが秘伝の技を披露する武術バラエティー『明鏡止水~武のKAMIWAZA~』がスタート。不定期で放送された2021年は、番組タイトルがTwitterでトレンド入りするなど若年層に大きな支持を得ていた人気番組だ。

テレビ界全体の大きな課題である“若年層の取り込み”へ、新たなゾーンを設けることで本気で動き出したNHK。3クール目までで一定の手応えを得ていることがわかったが、4クール目の1月期を終えて2022年度の成果をどう捉え、それを来年にどうブラッシュアップしていくかはこれからだ。

篠田氏も明言しているが、若年層に向けた取り組み強化の流れは、2023年度以降も続くことだろう。しかし、同時にNHKには高年齢層を置き去りにはできない民放とは異なる事情もある。もちろん両者をいかに取り込むかが大前提だが、そのうえでそのバランスをどうしていくのが最適かは、この先の公共放送としての大きな課題になる。今年の施策を来年へどうつなげるかは、その第一歩になるだろう。まずは来年の動向に注目が集まる。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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