スタバは、なぜ人種問題に踏み込んだのか 「Race Together」カップの波紋

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行きつけの店ではこれまでどおりに接してほしいと願う常連たちもいた。公共テレビ局PBSのニュース番組司会者グウェン・アイフィルはこうツイートしている。「正直に言うと、朝のコーヒーを飲む前の私に向かって、人種の話をしようなんて言ったら、まずいことになりそう」。

株主総会で打ち上げた構想

18日の年次株主総会はスタバの本拠地シアトルで開催された。ハワード・シュルツCEOがこの始まったばかりの広報活動について説明した舞台には、ゲストスピーカーとしてアカデミー賞を受賞した歌手コモンなども登場し、最後にはジェニファー・ハドソンが『ハレルヤ』を熱唱した。

「年次総会の話題が『人種』というのは普通でないし、気詰まりかもしれない」とシュルツは前置きした。「ほかの人たちがコスト、リスク、言い訳、行き詰まり状態を見るところに、私たちはチャンスを見いだして道筋をつける。それこそが営利を目的とする公開会社の役割であり責任でもある」。

スタバ役員でもあるアフリカ系米国人のメロディ・ホブソン(投資会社アリエル・インベストメンツ社長)は、この広報活動の看板役のひとりとして、人種問題を話し合うことは大切だと約15分間にわたって説いた。公の場で人種について語るのがどんなに難しいかということの例として、彼女が「過去24時間」に言及したのは、批判の高まりを意識してのことのように思えた(同社広報担当によるとシュルツもホブソンも予定していた発言を批判対応のため変更したわけではないとのこと)。

株主総会では2005年以来の株式分割も発表された。1株を2株に分割するという。1992年の上場以来これで6回目の株式分割だ。シアトルとニューヨーク市で始まる配達サービスに関する情報も披露された。

企業の社会的使命として

スタバのカップを手にNYの金融街を歩く女性

人種問題に関する広報活動は、同社の関連声明によると、昨年12月にシュルツCEOがシアトル本社で開いた人種間の緊張関係に関する会合がきっかけだった。当時はアフリカ系米国人が警官に射殺される事件が続き、ミズーリ州ファーガソン、ニューヨーク州スタテン島、カリフォルニア州オークランドで人種間の緊張がいや増しになっていた。シュルツは米国内でそういう現状について話そうという気運が高まったのを受け、話し合いの場を提供したいと思ったのだという。

その後、同じような会合がスタバ社員のためにオークランド、ロサンゼルス、セントルイス、シカゴ、ニューヨークでも開かれた。株主総会では、それらの会合で参加者たちが思い思いに問題意識を語る様子をとらえたビデオが一部紹介された。そしてシュルツは、こういう社会問題について企業として指導的役割を果たすべきだという主張をして、総会の締めくくりとした。

実際に行動に出たのは3月15日だった。各店舗で働くバリスタたちに、客に渡すカップにRace Togetherと書くことを奨励したのだ。さらにこのスローガンのシールも手渡すようにと勧めた。20日からはこの運動に関するUSAトゥデー紙の増刊号を店内に置くことにした。スタバ社としては、この運動のために客に働きかける職員を支持するが、職員に直接そう求めるわけではないということだった。

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