「もし私が彼女だったら」と気持ちや立場に感情移入したり共感したりする技術は、女性のほうが長けていると思います。仕事の内容も待遇も、将来への不安も圧倒的に異なる彼女たちの気持ち、ぜひ一度、あなたの技術を使って考えてみてほしい。そうすれば、どう接すれば、あなたと気持ちよく仕事ができるようになるか、おのずとわかってくると思うのです。
どんなとき、仕事の効用や貢献が感じられる?
少しヒントがあるとすれば、あなたはどうやって褒められると嬉しいか考えてみるといいと思います。自分の仕事の効用や貢献が感じられるのははどんなときでしょう?
まずは彼女たちに「こういうシーンで、こういう使い方をしたい」と事前の目的をはっきりさせて仕事の依頼をしてみましょう。それがあがってきたら、お礼だけでなくて「見やすい!」などの「すぐ」のフィードバックと「こういうシナリオで使いたいから、もっとこうしてほしい」と具体的な要望をしてみる。
そうやって仕上がったものを「今から使ってきます」と事前報告し、「おかげであの難しい役員に突っ込まれずに済んだ」とか「あの部長がわかりやすい資料だと褒めていた」と事後報告する。「これからもよろしくお願いします」と添えれば、絶対に悪い気はしないはずです。
もっと難しい仕事もお願いしていくようにして、必ず事前の目的共有とフィードバックをする。このサイクルが回っていけば、彼女たちの仕事の貢献感は格段に上がります。男性社員が依頼する、「あの資料、今月分の数字で新しく作っておいてください」「急なんだけど、気難しいお客さんですぐこれが必要なんだ」と言いっぱなしでその後どうなったかわからない仕事より、あなたから頼まれた仕事のほうが面白くなる。要は、自分が褒められて嬉しいポイントできちんと褒め、「あなたが必要だ」というポジションを一緒に作っていくことが大事なのです。
もしかしたら、彼女たちは雇用形態のことや将来の不安も抱えているかもしれない。でもあなたにも働く中での不安はあるはずで、そんな不安や隙も素直に見せていく。「みんな将来は不安なんだ」と思えれば、「今の仕事が面白い」ということが不安を少しだけでも解消してくれるかもしれません。それはお互いに、ということでもあります。
私が社会人1年目だった頃のことですが、社員で勤めていらした大先輩の女性が退職されて、同じ会社内でアシスタントのアルバイトをされていたことがありました。私も男女差なんてまったくない組織で働いていて、営業担当として毎日必死に走り回っていました。
ある時に、私はいわゆる「作業」を先輩に頼みました。「これ、明後日の朝までって無理ですか?」と言ったところ、彼女は私をじろっと見て、「なんであなたにそんなふうに頼まれなくちゃいけないの? 自分でやりなさいよ」と答えて横を向きました。私はカチンときてしまい、「わかりました、じゃ、いいです!」とその仕事の束を持ち帰りました。
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