ティム・クックが熊本の小学校視察で驚いたワケ アップルと熊本を結びつける3つのキーワード

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そしてもう1つは半導体だ。

熊本は半導体工場の誘致に成功しており、2022年の大きなニュースは、台湾TSMCが、ソニーグループ、デンソーとともに、建設を進める熊本県菊陽町の新工場がある。TSMCはアップルのデバイスの心臓部となる「アップルシリコン」も製造する企業だ。

その他にも数々の日本企業の半導体工場が集積する中、ティム・クック氏とグレッグ・ジョズウィアック氏は、ソニーセミコンダクターソリューションズの工場を訪問した。

ソニーセミコンダクタソリューションズの工場を訪問したクック氏(中央)。ソニーグループの吉田憲一郎CEO(右)と共に、iPhoneのカメラに10年以上にわたって採用されている、ソニー製センサーの製造を視察した(筆者撮影)

iPhoneには、2011年発売のiPhone 4S以降、ソニー製のセンサーを用いたカメラが搭載されている。最新モデルのiPhone 14 Proには4800万画素のセンサーがはじめて用いられたが、これもソニー製だ。

そもそも1つだったiPhoneのカメラは、現在では3つ搭載されており、スマートフォンのカメラ機能の向上は、バッテリーの持ちと同様に非常にニーズが集中しており、アップルにとってソニーは重要なパートナーという位置づけだ。またソニーも、スマホカメラの多眼化によって、多くのセンサーを出荷するようになってきた経緯がある。

持続的なビジネスを行う姿勢を強調

同時に、気候変動への施策についても、重要なパートナーとなった。アップルは次のようにコメントしている。

「本日ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は、2030年に向けて、直接排出と電力関連の排出を含むApple社関連の製造を完全に脱炭素化することを確認しました。これによりソニーは、Appleが近年推進しているグローバルサプライチェーンの脱炭素化に賛同する最初の日本企業となりました」

世界中から先進的な部品を調達して出来上がるアップル製品は、気候変動の対策、人権や平等といった問題への対処を前提にしながら、持続的な社会の中で、持続的なビジネスを行う姿勢を強調している。

日本の企業がそうしたグローバルな基準にいち早く賛同し対応していることも、アップルにとって付き合いやすいパートナーであるとの認識を深めているのではないだろうか。

ティム・クック氏の日本での精力的な日程はまだ続く。引き続き、同氏の動向を追いかけながら、お伝えしていきたい。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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