ビッグモーター、保険金不正の真相究明に新展開 早期幕引き狙った損保ジャパンにも責任論噴出

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取引のある大手損保のある役員は「夏場から第三者調査の実施や、水増し請求の対象になってしまった被害顧客への速やかな対応などをビッグモーターに要求してきた。ただ遅々として物事が進まず寝転がるような姿勢が最近まで続き、頭を抱えるような状況だった。(第三者調査に踏み切ったことで)ようやく一歩前進だ」と話す。

ビッグモーターが損保各社に配付した文書
ビッグモーターが損害保険各社に配布した第三者調査チームの設置を知らせる文書(編集部撮影)

そうして胸をなでおろす損保がある一方で、ビッグモーターと同様に苦しい立場に置かれているのが損保ジャパンだ。既報の通り、損保ジャパンは当初、ビッグモーターの自主調査をそのまま鵜呑みにし、被害顧客への対応すら始まっていない段階で、損保各社が停止していた取引を7月下旬から早々に再開した経緯がある。

「業界を代表する損保としてあり得ない対応だ」。年間200億円近い保険料収入があり、大型保険代理店でもあるビッグモーターにおもねるような対応をとった損保ジャパンには、ほかの大手損保から強烈な反発の声が上がった。

損保ジャパンは適正な対応をしたのか

慌てた損保ジャパンは9月中旬、取引を再度中断したが、そうした稚拙な対応は「ビッグモーターとの間で、水増し請求を看過すると裏で握っていたのではないか」(前出の大手損保役員)との疑念を生むことになった。

損保ジャパンは以前から社員をビッグモーターに出向させており、現在は5人の出向者がいる。出向先は不正調査を担う部署(BPテクニカルサポート部)などだ。その目的について、損保ジャパンは現在、再発防止策の浸透やコンプライアンス(法令順守)体制の構築、板金部門の品質向上だとする。

だが、水増し請求問題の適正化に向けて出向者たちは果たして有効に機能していたのだろうか。むしろ「この数カ月間、事態が進展せず膠着していたのは、彼ら(損保ジャパンからの出向者)が寝転がっていたからではないのか」(大手損保幹部)と勘繰る声も上がる。

今後は水増し請求の詳しい実態について、外部の弁護士らが調査を進めることになる。

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