ビッグモーター不正報道「完全黙殺」成功の諸事情 メディア追求かわすも…国が動く「もうひと押し」

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ビッグモーターの「極めて特異な炎上対応」を読み解いていく(編集部撮影)

「客のタイヤにネジを突き立てパンクさせて、工賃を請求」「高級タイヤに取り替えたとウソをついて安価なタイヤを使い、その差額を利益にしていた」「車検を行っていたのは無資格のスタッフ」……

5月5日号のFRIDAYの記事で、このような衝撃的なエピソードの数々が並んだ。厳しく糾弾されているのは、中古車販売大手・ビッグモーターだ。売上高7000億円、従業員数6000名、全国300店舗以上を展開し、「買取台数6年連続日本一」をうたう中古車販売業界の「雄」だ。

FRIDAYの記事を受け、ツイッターでも批判が殺到した。この「炎上劇」に対し、ビッグモーターは他の企業がまず取らない対処法をとった。否定コメントを出したわけでも、反対に謝罪文を公表したわけでもない。なんと「完全黙殺」しているのだ。

この類いまれなる「完全黙殺」は、今のところ功を奏しているように見える。FRIDAYを後追いする主要メディアは現時点で皆無だからだ。

なぜ、どのメディアも後追いしないのか。なぜ、「完全黙殺」は成功しているのか。そして、成功はこのまま続くのか。ビッグモーターの「極めて特異な炎上対応」を読み解いてみたい。

不祥事の指摘は、今回が初めてではない

FRIDAYに追及されたビッグモーターだが、不祥事を指摘されるのは何も「今回が初めて」ではない。

2016年12月。産経新聞は「自動車保険契約の目標額を下回った販売店の店長が、上回った店長に現金を支払う『慣行』があること」、また翌年2月には続報として「この『慣行』は収益性の高い保険手数料を獲得するために兼重宏行社長の強いリーダーシップの下、行われていた」と伝えた。

昨年から今年にかけて、東洋経済も「損害保険会社への修理費の水増し請求があったこと」を特集している。(ビッグモーター、保険金不正の真相究明に新展開

そして、今年3月。朝日新聞、熊本放送、熊本日日新聞がそろって「車検で必要な検査の一部を実施せず不正合格させたとして、九州運輸局が熊本浜線店の民間車検場の指定を取り消した」ことを報じている。

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